2022-01-01から1年間の記事一覧

林 真理子「本を読む女」を読む

著者の母親の生涯を小説仕立てで書く・・作家ってなんと因果な職業でありませう。ドキュメントではなく小説ですよ。ようするにたくさん売るために話を盛ったり、削ったり、誇張したりと加工する必要があります。それなのに事実を歪めることはできない。なん…

岡崎武志「人と会う力」を読む

なんとも脱力するタイトルであります。表紙の「力」の文字が心なしか細身でヘナヘナ感がする・・のは勘ぐりすぎでせうか。で、ページを開けると最初に「人と会うのはそもそも面倒で、困難なことである」という見出しが・・。 そもそも、著者は人に会って取材…

今週のお題「おすすめブログ紹介」 <朱雀の洛中日記>

かれこれ10年以上愛読しているのが「朱雀の洛中日記」。長崎生まれのおばさんが老後は京都で暮らしたいという夢を実現させた。これを機にはじめたブログが自分の趣味や感性と合い、学ぶところも多くてネット上の「座右の書」になっています。 旅好き、アー…

河村俊宏「あるBARのエッセイ」を読む

昭和36年生まれの著者は神戸で居酒屋を経営していたが、阪神大震災で店が焼失し、これを機にバー経営に転向した。なぜバーに?の理由が語られていないけど、居酒屋とは似て非なる業態だから、苦労も多かっただろうと察します。こういう転向は、はじめからオ…

石ころでミニ石仏をつくる<石ころアート展>

友人のOさんが「こんなもん、作ったんやけど」と見せてくれたのが写真のミニサイズの石仏。なんの細工も施さない「純粋石ころ」なのに組み合わせの妙で石仏に見える。「お、これ、おもろいやん」と直感したので「ぎょうさん作って作品展したら?」と半分冗…

岡 潔「情と日本人」を読む

日常の生活態度においては自分は唯物論ふう思考の人間だと勝手に思っているけれど、岡センセの根本思想を為す、人間は「情」で生きるべし論を読むとなぜか「そやそや」と共感してしまうのであります。論理的思考のカタマリみたいな数学になんで情が絡むのか…

川上武志「原発放浪記」を読む

原発の工事現場で働く末端労働者のレポート。雇用のありかた、労働環境、放射能リスクを避けるための規則など、私的経験を綴っている。放浪記という題名から察せられるように、原発現場の工事作業員は定住することは無く、発電所の新増設、定期点検工事の現…

高村友也「僕はなぜ小屋で暮らすようになったか」

~生と死と哲学を巡って~ というサブタイトルが付いている。雑木林や河川敷に粗末な小屋をつくり、引きこもって暮らす青年の独白を綴ったよみものであります。小屋暮らしの理由は無職無収入で追い詰められて・・と想像しがちだけど、ちがひます。♪~貧しさ…

出口治明「還暦からの底力」を読む

京大法学部を卒業、日本生命に34年勤め、幹部に昇進して退職・・という経歴から想像するエリートサラリーマン像を見事に転覆させるのがこの人の魅力です。副題に~歴史・人・旅に学ぶ生き方~と記すように会社のトップに上り詰めて達成感を味わうようなタ…

「一万円選書」岩田書店の人気ぶりが新聞記事に・・

大小を問わず書店経営のしんどさは全国共通 になっているなかで北海道砂川市の岩田書店のユニークな「一万円選書」は販売方法として定着した・・という「地味なニュース」が新聞でハデな記事になっているのでご紹介。 9月5日の産経新聞朝刊の一面と最終面(…

嵐山光三郎「悪党芭蕉」を読む

同著者の「西行と清盛」を読んだことがあり、とても面白かったので本書も期待して読んだところ、アタリでした。芭蕉の作品論や伝記は山ほどあるけど、あくびなしで読める本はない。著者はそこを意識してか、「退屈しない芭蕉論」を目指した。まず、題名から…

佐伯泰英「惜櫟莊だより」を読む

知人のIさんが「あんた、こんな本、好きやろ」と持参してくれたので佐伯泰英の本は読んだことないけど、断れずに預かりました。Iさんはモーレツな佐伯泰英ファンで、今までに購入、読破した作品が170冊というから、もう著書はほとんど読んでるといって…

後田 亨「保険のプロが生命保険に入らない理由」を読む

ジャンルを問わず、印刷物ならなんでも読む乱読趣味人でありますが、保険に関する本はこれがはじめてです。そして、書名のように、保険会社の社員は保険に加入しないのは常識と知ってビックリしました。銀行と並んで「信用」を重んじる保険会社が社員に信用…

憎きゴキの賢い侵入ワザに感心

過去10年くらい自宅でゴキブリを見たことがなかったのに今年はすでに2回見つけた。集合住宅は戸建て住宅に比べて密閉度が高くてドアや窓を閉め切っていたら侵入は難しい。それなのに侵入できたゴキの手口とは・・・。 ●玄関ドアのドアポケットから ある日…

江上 剛「50歳からの教養力」を読む

編集者のセンスが問われるダサイ題名の本で、売り上げはパッとしなかったのではと想像します。前に紹介したホリエモンの「僕たちはもう働かなくていい」のほうがよほどマシです。著者は元銀行員だった作家、50歳で退職し、作家稼業に専念、努力が実ってそ…

名画の秘密 ベラスケス<ラス・メニーナス>を読む

図書館の美術書棚で素敵な本を2冊見つけた。一冊がこれ。美術ファンならずともご存じの傑作でありますが、傑作にして謎だらけの絵というのが魅力的であります。実は、大昔、dameo が画集ではじめてこの絵を見たときも単細胞的な疑問を抱いたものです。それ…

高瀬隼子「おいしいごはんが食べられますように」を読む

友人から図書カード1500円ぶんを頂いたので、税込み1540円の本書を買った。有り難きシアワセであります。ヘンな題名やなあと訝りつつ読みましたが、期待ハズレでした。こんなのが芥川賞だなんて・・。カードをくれた友人に申し訳ない。 昔、石原慎太…

世界一貧しい大統領「ホセ・ムヒカの生き方と言葉」を読む

10年くらい前に首題のフレーズで有名になった元ウルグアイ大統領、ホセ・ムヒカの人生を綴ったムック版。 小国の権力者はたいてい「独裁者」として登場するけど、この人は「フツーのおじさん」というキャラクターで有名になりました。権力者を目指すことと…

反田恭平「終止符のない人生」を読む

万事に保守的な日本の音楽界にようやく革新派が現れた。大歓迎であります。2021年のショパンコンクールで第二位となり(日本人では最高位)一躍スターになった。いま、ピアニストでチケットが即完売になるのはこの人と辻井伸行の二人だけかもしれない。…

安い~早い~楽ちん・・大物室内干しのアイデアを紹介

今週のお題「最近洗ったもの」 数年前に思いついたアイデア。シーツや毛布などの大物を室内で乾かすにはこれより簡単で見栄えのよい方法はないと思っています。1年くらい前に掲載した案をリデザインして紹介します。 ~用意するパーツ~◆突っ張り棒・・1本…

暑中お見舞い申し上げます

コロナ+猛暑の日々、ロージンは外出を控えて下さい、と役所がおふれを出しています。大阪府の場合、人口870万人に対して感染者総数は140万人。およそ6人に一人が感染していることになります。なのに、自分の周りには「感染した」という人ゼロ状態で…

堀江貴文「ぼくたちはもう働かなくていい」を読む

AIやロボットの最新情報をわかりやすく解説する本として手軽に読めるのが良い。かつ、題名のように刺激的な表現で売り上げをアップする点、なかなかの商売人でもあります。難点をいえば、先進技術を紹介するぶん本の賞味期限が短いことで、古本になれば二…

逆転・・日本が中国の下請けになる時代

7月27日のNHK「クローズアップ現代」のテーマは「日本は割安? 世界が狙う労働力」で時代の移り変わりの早さを感じずにはおれないものでした。日本の平均賃金が30年来ほとんど上昇しないあいだに中国をはじめアジアの人件費は5倍~10倍も延び、日…

暑中 至福のひととき・・・

サグラダファミリア+ウイーンフィル+ブルックナー4番・・こんな僥倖またとありませうか。音楽ファン、ブルックナーファンにとってはたまらんシーンであります。7月24日のEテレ「クラシック音楽館」で放送されました。 なぜ、この組み合わせなのか。説明…

田中泰延「読みたいことを 書けばいい。」を読む

文章指南の本はたくさんあるけど、これは個性的かつ説得力のある本です。著者は電通に24年勤めたコピーライターで退職しては「青年失業家」と称してフリーで仕事をしている。どれだけ稼いでるのか不明なれど、ちゃんとメシが食えてるのなら大方のサラリー…

倉橋由美子「大人のための残酷童話」を読む

発想がユニークなので話題になった本ですが、読まずじまいで忘れていたところ、ある日、古本屋の100円ワゴンでみつけました。発売以来三十数年ぶりに購入したわけです。 期待して読んだら・・なんか「ハズレ」の印象です。誰でも知ってる童話のパロディだと…

澤 章「ハダカの東京都庁」を読む

公務員のなかではマジメの上にクソを載せたようなイメージがある都庁の人事課長が書いた都庁暴露本。このために著者は天下りのポストと収入をパーにしてしまった。しかし、それは想定の上で出版したのだから、ま、しゃ~ない。我慢して頂きませう。 さりなが…

幸福は幻になった<幸福実現党>のリアル

参議院選挙が終わって三日後、新聞に「比例代表の最終得票数」という記事が掲載されました。細かい数字がびっしり詰まったデータで、こんな記事読む人は選挙関係者だけではと思われます。で、なにげに紙面をながめているとき「幸福実現党」の数字が目に止ま…

大石あき子「維新ぎらい」を読む

橋下徹が大嫌い、というdameo の心情をくすぐる、こんな本が出ています。著者、大石あき子氏は大阪市出身の衆議院議員で所属は「れいわ新撰組」。超マイナー政党の議員が只今躍進中の「維新の会」と黒幕の橋下徹をボロクソに批判している。そのパワーはなん…