後田 亨「保険のプロが生命保険に入らない理由」を読む

 ジャンルを問わず、印刷物ならなんでも読む乱読趣味人でありますが、保険に関する本はこれがはじめてです。そして、書名のように、保険会社の社員は保険に加入しないのは常識と知ってビックリしました。銀行と並んで「信用」を重んじる保険会社が社員に信用されていないなんて・・。えらいこっちゃ。


保険会社社員がいちばん利用しているのは社員向けで掛け捨ての「団体保険」のみでハデに宣伝している保険には入らない。保険の仕組みを知ってしまうとアホらしくて加入する気にならないからです。医療保険に関しては国の「健康保険」が最良という認識です。よって、万が一の事故死などに備えて「かけ捨て」の「団体保険」のみに加入しておく。


保険会社が生命保険で儲ける仕組みはどうなってるかというと、概ね20~60%を経費として計上する。仮に1万円払い込むと2000円~6000円が「粗利」となり、これで社員の給料を払い、代理店に手数料を払い、立派なビルを建て、あちこちに投資し、テレビなどでハデに宣伝する。それらを差し引いて残った金を加入者の保険金支払いに充てる。こんなこと、考えたことありますか。
 銀行のATM利用になぞらえば、1万円入金したら2000円以上が手数料としてさっ引かれる感じ。銀行の本業は金貸しなので、貸した相手から利息をとって儲けにするが、保険の場合は加入者からダイレクトに利益をさっ引く。大げさにいえばこういうことです。


一般人からの金集めにおいて保険会社が銀行よりうんと有利なのは顧客の「不安につけ込む」という手があるからです。病気に備えて、老後に備えて、子供の未来に備えて、とアイデアを凝らして不安を煽り、安心を売り込む。これを設計する人こそ保険会社のエリート社員でせう。いや、一般社員もかなりの高給で、住友、第一、大同、ソニーなどの平均年収は1000万を越えている。こういう、保険会社の保険には入らない人の生活を年収500万クラスの人が保険に加入して支えているわけです。ん?・・なんか、おかしいと思いません?


さて、我が身を振り返れば、保険に関しては無知蒙昧レベルで、過去に加入したのは全部「義理がらみ」でした。自らの意思で加入したことは一度も無い。
情けないというか、お人好しというか・・。なのに、あの世が近づいてるのに死亡保険に入っていない。(もう手遅れであります)


dameo が唯一加入している医療保険は「かけ捨て」で毎月5000円。18年掛けているので掛け金総額は112万円。手術や入院で支払われた金額が合計52万円でした。112万円ー52万円=60万円。文字通り「掛け捨て」したのが60万円。一ヶ月で計算すると2750円。これが純粋にムダ金です。払い戻し率は46%、いまのところ、保険会社の粗利益はおよそ5割となります。保険会社からみれば「まずまず良い顧客」の部類でせう。(2017年 青春出版社発行)


<追記>著者の説明では、保険会社の貯蓄型、個人年金型の保険はきわめてリスクが高い。それよりおすすめなのは「確定拠出年金」で、仕組みがややこしいとかデメリットもあるけど、勉強する価値はあると奨めています。