暑中 至福のひととき・・・

 サグラダファミリア+ウイーンフィル+ブルックナー4番・・こんな僥倖またとありませうか。音楽ファン、ブルックナーファンにとってはたまらんシーンであります。7月24日のEテレ「クラシック音楽館」で放送されました。


なぜ、この組み合わせなのか。説明によると、サグラダファミリアの建設着工が1881年(今から141年前)。そして、ブルックナー交響曲第4番の初演がこの年というご縁で企画された。実際の演奏は2021年9月18日、おお、dameo  の誕生日ではありませんか。


誰が言い出し兵衛か知らないけれど、企画、実現までにはえらい苦労があったと想像します。ハッキリしてるのは、こんなことやってもゼニ儲けにはならない。関係者の自己満足だけです。次に、「ちゃんとした演奏ができるのか」という懸念。事前調査はしっかりしても本番でカッコイイ演奏ができるのか。さらに、視聴者へどうアピールするか。簡単にいえば、退屈させないための工夫です。ブルックナーファンなんて百人に一人もいませんからね。


着工後140年以上経つのに未だにネチネチ建設作業が続けられ、外部にタワークレーンがそびえ立つ現場。中世の教会建築に比べたらこれでも短いほうになるけど、世は21世紀ですからねえ。スペイン語には「いらち」って言葉無いのかしらん。


予想通り、演奏は第4楽章を除いて思い切りスローテンポでなされた。スローでしかできないのはホールの残響時間が長すぎるせいだと想像する。合奏がフォルテで終わると4秒くらい、ふわ~~~んと響いている。でも、ブルックナー作品の魅力はこれです。最強奏+全休止符。


今から40年くらい前、大阪に日本ではじめて音楽専用のホールができてから20年以上会員になってブルックナーの演奏会に通いましたが、このホールでの演奏で何を学んだかといえば「休止符の鑑賞」です。無音状態がカッコイイ。
 それが音響的には「残響時間02秒」。01秒だったらアカンのか。アカンのであります。1,5秒でもダメ。2秒±0,2秒くらいが最適です。


サグラダファミリアの残響時間が長すぎるというハンディを克服できなかったのか、録画放送の音響は満足できるものではなかった。マイクロフォンのセッティングにすごく苦労したと思うけど、各パートの音はクリアなのに合奏部分では貧相な音しか再生できなかった。ウイーンフィルならではのパワフルかつ上品なハーモニーは聞けずじまいでした。ま、でも夏の暑い夜のひととき、サグラダファミリアのアートシーンを鑑賞できただけでもシアワセでありました。(2022-07-24 NHK Eテレ・クラシック音楽館)


演奏後の指揮者、クリティアン・ティーレマンの後ろ姿。大汗が上着に染み通ってびしょ濡れでした。当然、エアコンなんてないから仕方ない。