7月27日のNHK「クローズアップ現代」のテーマは「日本は割安? 世界が狙う労働力」で時代の移り変わりの早さを感じずにはおれないものでした。日本の平均賃金が30年来ほとんど上昇しないあいだに中国をはじめアジアの人件費は5倍~10倍も延び、日本と同等またはそれ以上になった。日本が中国やアジア諸国を下請け生産地とする常識は通用しなくなり、その逆転現象が起きている。
中国の企業が日本の企業を下請け扱いにして生産、世界中に販売する時代になったのであります。小規模なものは10人程度のIT関連ビジネス、大規模で象徴的なのは中国の家電メーカー「ハイアール」の発展ぶりです。同社は何十年か前にコケた三洋電機の資本、人材をベースに「日本品質」を目指して開発力を高め、今や世界に通用する家電メーカーに成長した。今でもエンジニアは日本人をたくさん採用している。給料や人事では日本の家電メーカーより優遇されるから、働く日本人に「下請け」感覚はない。
誰でもが容易に感じることの例は100均ショップの商品。ほとんどが中国やベトナムでの生産品だったのに、最近は日本製が増えている。といって単純に喜んではいけない。日本人の低賃金ぶりを表している。こんなメイドイン ジャパンをつくっている会社の賃金を上げるのが難儀なこと、誰でも想像できる。
外国から見たら「安月給でマジメに働く日本人」は魅力的な労働資源に映る。ならば、日本を下請けにして安くて良い品を生産しようとなる。至ってノーマルな発想である。私たちがイメージしてきたグローバル化は「日本で企画した商品を世界各地で生産する」であったけど、この常識が逆転してしまった。
このような潮流の変化をサラリーマン諸氏はどれほど認識しているだろうか。未だに「今日は昨日の続き、明日は今日の続き」であってほしいと、安泰だけを望む輩が多いように思える。
しかし、悲観することはない。番組でも解説していたが、良質な日本人労働者が魅力的であることは将来、高収入が実現する可能性が高い。一昔前の中国人労働者は「安かろう、悪かろう」が常識だったのと天地の差がある。ピンチはチャンスなり、であります。