2021-01-01から1年間の記事一覧

ヴェルレーヌと定家の「秋の歌」

今週のお題「秋の歌」に参加します 秋の詩といえば、これしかない。 昭和30年ごろにはじめて出会った舶来の詩がヴェルレーヌのこの作品。一目惚れしました。 落葉 秋の日のヴィオロンのためいきの身にしみてひたぶるにうら悲し。 鐘のおとに胸ふたぎ色かへ…

遠藤功「新幹線 お掃除の天使たち」を読む

この本の主役、新幹線車両の清掃チームの仕事ぶりが、ハーバードビジネススクール(HBS)の教材に使われているそうです。いや、すごいですね。「清掃員」のイメージからはあり得ないモテようです。ほんの10年くらい前までは、きつい、汚い、危険、の3K労…

細川貂々「ツレがうつになりまして」を読む

著者の名前「貂々」はてんてんと読みます。テンはイタチ科の動物。この方の旦那さん(ツレ)がうつを患い、なんとかフツーの暮らしに戻るまで一年半の闘病生活をマンガで描いた。この表現のユニークさが受けたのか、25刷を重ねる人気本になった。病気が治…

「歎異抄」近道入門ガイド?を手づくり

半世紀前、秦秀雄という美術評論家がアート雑誌に連載したエッセイ「歎異抄」を読んではじめて歎異抄の何たるかがちょっぴり分かった気になりました。ほんとにちょっぴりですけど。そのエッセイを紹介する手づくり本(B5ファイル)です 歎異抄の解説本はい…

小林照子「これはしない、あれはする」を読む

どんな生き方をしてきたか。顔にはすべてが記録されていくのです。 ・・と、dameo が書けば、何をしょーもないこと言うとんねん、で馬鹿にされるだけでありますが、美容界の大御所が書けばなにやら格言めいたネウチのある言葉に思えるのであります。 小林照…

2013年・<北と南>ミュージアム巡りの旅(9)

中休みのある旅 北のミュージアム巡りの旅を終えて帰宅、南の旅へ出かけるまで5日間休んで6月7日に南のミュージアム巡り、2泊3日の旅に出かけました。小樽発~鹿児島行き、2700キロの長距離乗車券は有効期間が15日もあるので、こんな「ゆとりプラ…

坂口安吾「桜の森の満開の下」を読む

平成生まれの人は坂口安吾なんて知らないでせう。昭和20年代の人気作家です。何十年か前に著者のヒット作「堕落論」を読んだことがある。敗戦後の国民総茫然自失の時期にしょーもない忠君愛国思想を捨てよと明快に述べた評論でベストセラーになった。この…

下重暁子「家族という病」を読む

よくもこんなにイヤミな題名をつけたもんだ。まあ、幻冬舎らしいセンスも感じますけどね。でも、この題名に惹かれて買った人も多いと思う。ヒットしたのかどうか知らないけど、中身より題名のインパクトで売れたこと確かでせう。著者、下重さんはNHKのア…

図書室のある分譲マンション

なるほど、こういうアイデアもあるのか、と身びいきで褒めたくなったのが表題の物件。本好きには魅力的なマンションだけど、これが売れ行きアップにつながるだろうか。他に、ゲストルーム、パーティールームもある。(全219戸) 場所は大阪市東住吉区の近…

赤塚不二夫「酒とバカの日々」を読む

だれがこんなしょーもない本読むねん、とバカにしながら最後まで読んでしまった。題名はむろん「酒とバラの日々」のもじり。赤塚不二夫、ハチャメチャ人生の回顧録みたいな本です。若者よ、酒を飲め、女を口説け、金なんか貯めるな、と破滅型人生を勧めるの…

荻原 浩「海の見える理髪店」を読む

こんな優れた小品を読むと自分は長編より短編小説ファンなんだと改めて自覚します。第155回直木賞受賞作。短編が6編編集されており、一番すぐれていると思ったのは表題の「海の見える理髪店」です。田舎町のしょぼい理髪店を初めて訪れた客と老いた理髪師の…

朝井まかて「すかたん」を読む

中央図書館へ行くと、たまたま朝井まかて氏の講演会があったので聴講しました。終了後に著書の頒布があり、サイン会もするというので、つい列に並んで買ったのがこの本。著者は大阪出身の作家、「恋歌」で直木賞を受賞しています。60歳くらいのスリムなお…

鳥越ゆり子詩と絵展<洞窟にて> ご案内

事故物件怪談 松原タニシ「恐い間取り」を読む

B級芸人は何かユニークな持ちネタがないとメシが食えないという厳しい状況にある。著者もその一人で何の因果か「事故物件住みます芸人」で売り出した。おかげで?北野誠とかタレントとのコネができ、TV出演などでそこそこ稼いだらしい。普通の人は恐くて…

スマホ脳が反乱?・・LPレコードの愛用者急増

昨夜のNHKニュースで若者のあいだでLPレコードがもてはやされてると長めの編集で報じていた。あんな取り扱いに不便なモノがなぜ復活したのか。 若者へのインタビューの答えはこんな感じだ。 ・ジャケットが大判で見るだけで楽しい。・針を落として音が…

野坂昭如「火垂るの墓」を読む

著者の少年時代の実体験をもとに書かれた短編で、文庫版でも34頁しかない。しかし、本作品は「アメリカひじき」とともに直木賞を受賞した。新潮社で文庫化され、昭和47年以来76刷と地味ながら長く読み続けられたロングセラーです。尤も、人数でいえば、…

佐高 信「竹中平蔵への退場勧告」を読む

いま、日本の知識人で一番嫌われている人物は誰か。たいていの人はご存じでせう。竹中平蔵氏であります。それにしても、こんなにストレートに個人の悪口を書いた本を出版しても委員会?と気になります。実際にはクレームがついていないということは内容が全…

中村仁一・近藤誠「どうせ死ぬなら ”がん” がいい」

がん世界の問題?医者、近藤誠氏と「大往生したけりゃ 医療とかかわるな」というヒット作を出した、中村仁一両氏の対談録。現代の医学の常識をあざけり、イヤミを言いたい放題という本であります。 本来、クソマジメに論ずるべきテーマを面白おかしく書ける…

週刊誌の「選挙予測」は当たったのか

今回の選挙でのサプライズは「維新の会」の大躍進でした。これは予想できたのか。選挙日半月前の週刊誌の予想は以下の通りでしたが・・ 上段は「週刊文春」下段は「サンデー毎日」の予測数字自民党 244 立憲民主党 115 維新の会 26自民党 257 立…

糸井重里「すいません、ほぼ日の経営。」を読む

~お知らせ・タイトルを「今日もニコニコ乱読味読」に変えました~ 以前に書いたことがあるが・・・一般人の理想の人生とは・ 好きなコトをして・それでメシが食え・しかも世間で喜ばれる という人生であります。 そんな理想に近い人生を送っている、と思え…

小泉今日子「小泉今日子 書評集」を読む

いかに芸能界オンチの dameo でも小泉今日子の名前くらいは知っている。ミーハー族のアイドル。そんなタレントが書評集なる単行本を出すなんて何を偉そうぶってるのか・・。で、「はじめに」を読むと、今日子サンは読売新聞書評欄で執筆する書評委員でした。…

北と南  ミュージアム巡りの旅 (8)

盛岡散歩・・岩手県立美術館ほか 2013年6月2日(日)ミュージアム巡り、キタ編は今日でおしまいです。幸い晴天、朝は冷え込み、8時頃に青森駅へ行ったら、電車のドア開閉が冬モードになっていて戸惑いました。(ドアボタンで開けて乗ります)毎朝、ワ…

青山ゆみこ「人生最後のご馳走」を読む

今週のお題「読書の秋」*********** 病院食を食べた経験ある人が「美味しい」と評価することは稀だと思います。栄養第一の献立を限られた予算でつくるのだから「ご馳走」であるはずがない。そんな常識を覆して大阪の淀川キリスト教病院ホスピスで…

幸田 文「木」を読む

文章の上手さに魅せられて、読み出したら止まらない。「杉の木は縦縞の着物をきている」なんちゃって、万年着物姿の著者が書けば,読者はたちまち幸田ファンになってしまうのであります。ま、文章の上手さは親の血筋といってしまえばそれまでなのですが。(…

有島武郎「生まれ出づる悩み」ほかを読む

恥ずかしながら、有島武郎の作品を読んだことがないので、まず首記の作品を読む。先に読んだ泉鏡花よりずっと後の世代で、性格も作品世界もまったく異なり、有島センセはまじめの上にクソを乗せたようなタイプ。常に自分は一流の芸術家たり得るのか、と悩ん…

坂野昭彦「一文無しが贋札造って捕まって」を読む

2005年3月、埼玉県で偽一万円札が流布した。のべ50枚見つかった半年後に容疑者が捕まった。その本人、坂野昭彦が書いたドキュメンタリーであります。犯罪歴などない、ごく普通の市民が事業の失敗から経済的に破綻し、追い詰められていく。離婚して妻子と絶縁…

<30年以上使ってるホーム用品10選>

はてなブログ10周年特別お題「好きな◯◯10選」 若い人には書けない「長寿アイテム10選」を紹介します。下の写真は食器から電化製品まで毎日使ってるグッズのうち30年以上愛用の長寿品です。 ■台所道具の長寿命ベストワンは包丁です。20代のときに買った…

樹木希林「一切なりゆき」を読む

一切なりゆき、というタイトルから察すると著者は恬淡とした性格の人物のように想像してしまうけど、なかなか、どろどろした執念、執心もたっぷりありそうな、複雑な人格の持ち主であります。内田裕哉とのヘンテコな夫婦生活を察しても「一切なりゆき」なん…

岡本純子「世界一孤独な 日本のオジサン」を読む

2018年にイギリスのメイ首相が政府に「孤独省」をつくると発表して驚いたが、こんなの世界ではじめてではないか。孤独に悩む高齢者など百万人単位の人たちを救済するために公的機関をつくるという。う~ん、日本では考えられないけどなあ、と他人事視してい…

読書の秋の愉しみ「古本市めぐり」

春秋の定番行事「古本市」 金はないけどヒマは十分あり、という常連がいそいそと出かけます。今回は四天王寺と大阪天満宮と阪神百貨店の会場を見てまわりました。会場でとりあえず目指すのは「百円均一台」。ていねいに探せばいい本に出会えます。百円ではな…