「歎異抄」近道入門ガイド?を手づくり

 半世紀前、秦秀雄という美術評論家がアート雑誌に連載したエッセイ「歎異抄」を読んではじめて歎異抄の何たるかがちょっぴり分かった気になりました。ほんとにちょっぴりですけど。そのエッセイを紹介する手づくり本(B5ファイル)です


歎異抄の解説本はいっぱいあるけど、どれを読んでも「要するに何の話やねん」という感想しかもてない。自分の理解力の無さを棚に上げて本の悪口をいうのは失礼千万でありますが、読者の9割は同じような感想ではないかと察します。


そもそも、親鸞唯円歎異抄の著者)が何十年もかけて思索し、推敲を重ねて著した著作物を、解説本を一冊読んで「ワカリマシタ」はあり得ない。さりとて「何の話やねん」で放り出してしまうのもちょっと悔しい。どこかに「取り付く島」があればいいのに・・と思っていたら、この秦秀雄のエッセイに出会った。ゴミ処分を頼まれた季刊誌「銀花」に載っていたのです。


そこで、この秦秀雄のエッセイを雑誌から切り取り、ファイルにまとめて「歎異抄 近道入門ガイド」なるタイトルをつけ、まちライブラリー@もりのみや に寄贈しました。50年ぶりに一冊きりの再デビューとなります。参考に「歎異抄をひらく」など、市販の解説本もセットにしました。(下の写真)


dameo  が巻頭に書いた紹介文は以下の通りです。


      新発想・・エッセイで味わう「歎異抄(たんにしょう)

 明治時代以後、おそらく百冊以上の解説本が発行された「歎異抄」。読んだ人は数百万人、いやもっと多いかもしれません。しかし、そのうちの何人が内容を理解できたでせうか。ほとんどの読者は「なんか、ようわからん」と手放してしまったのではと想像します。自分も「わからん」一人です。


 「歎異抄」より古い時代に著された「方丈記」や「徒然草」はどうでしょう。これらを読んだ人は詳しい内容はともかく、雰囲気とか、ぼんやりとでも覚えているのではと思います。中学か高校で習ったかもしれませんし。


 「方丈記」も「徒然草」もエッセイの名作です。で、ピカ~と閃きました。そや、「歎異抄」もエッセイ仕立てで解説したら分かりやすいのとちゃうか? 現在、流布している「歎異抄」解説本はみんな難解な原文を意訳するかたちで書かれています。だから分かりにくい。


 難解な原文にガチンコで対峙するのではなく、原文は脇に置いといて、仏の教えを庶民の生活感覚で語れば分かりやすいのではと考えた。ちょっとズルイけど、広い正面大通りではなく、細い近道を伝ってこっそりと歎異抄に近づく。この近道入門を案内してくれたのがここで紹介する秦秀雄のエッセイ「歎異抄」です。(文章は1973~74年 季刊「銀花」に連載された)


 原文の意訳や解説ではなく、秦秀雄個人の知見や人生観が綴られる。さらに、著者の知り合いである農夫、高桑藤ノ八翁の仏様に対する感謝報恩の念が方言で書かれて読者の心にストレートに届く。親鸞の説く「他力本願」の何たるかがすこ~し感得できます。「自力」の虚しさ、「他力」の尊さ、有り難さをちょびっとでも感じることができれば、この近道入門ガイドはお役に立てたと思います。


 歎異抄は第十八章までありますが、これはタマラン、しんどいと思う人は第十章で打ち止めでヨシです。なお、各章はじめの原文もパスしてもOK。その代わり、巻末の「奇特の人 高桑藤ノ八翁」はぜひお読み下さい。近道する上、ページの大巾カットにより、二時間~三時間で読了できるでせう。できれば、他の解説書と読み比べてみて下さい。


以上が「まえがき」です。難解な「歎異抄」のカンニングペーパーを見つけた、という思いです。親鸞上人様、唯円様、罰当たりなことしてスミマセンです。


歎異抄・・https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%AD%8E%E7%95%B0%E6%8A%84

秦秀雄・・https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%A7%A6%E7%A7%80%E9%9B%84

 

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