内館牧子「すぐ死ぬんだから」を読む

 半分くらい読み進んでも平凡なホームドラマの印象だった。もうヤメるかと思って最後にページを繰ったら大事件勃発、で最後まで読まされてしまいました。主人公は78歳の老妻ハナ。夫の岩造とは自他共に認める仲良し夫婦であったが、その夫は突然亡くなってしまった。悲嘆に沈む日々、夫の遺品を整理するなかで遺言書が見つかり、愛人がいたことが発覚した・・ジャ~ン!!。


ここから話はテンポ良く進み、最後はなんとかハッピーエンドで収まります。
筋書きはさておき、著者がしつこいくらい繰り返して書くのは、老いたからといって歳相応の服装、身だしなみに捕らわれるなということです。「楽なのが一番」といってダサイ格好してると精神までダサくなる。78歳なら、せめて10歳若い68歳の身なりを心がけよ、と主張します。これって、著者、内舘センセ自身が実践してるスタイルでせう。(執筆したのは68~69歳だった)


なので、主人公ハナが外出するときは、いちいち服装やアクセサリーが描写される。同年配の友達と会うときは相手の服装も描かれる。
 たとえば、地元の商店会の会合に出かけるときでも「・・私は綿ニットのアンサンブルを着た。花柄のスカートを合わせる。共に深い赤ワインの同系色だ。残暑が厳しいとはいえ、九月に白っぽい服装はダサい」という具合。(89頁)


知ってました?・・死後離婚=「姻族関係終了届」
 最愛の夫に愛人がいた・・で、ハナは復讐するは我にあり、と死んだ夫に仕返しをする。その方法の一つが「姻族関係終了届」通称「死後離婚」というらしい。こんな制度があること知りませんでした。ネットの説明では・・
 「姻族関係終了届」は夫が死亡した後で夫の両親や兄弟姉妹との親族関係を終了させることができるものです。 制度上は妻が死亡した後で夫が提出することもできますが、実際は妻が提出することがほとんどです。 姻族関係終了届を提出しても相続財産を返す必要はなく、遺族年金もそれまでどおり受けられます。」とあります。


 夫側の身内と相談することなく、一方的に通知することで事実上、絶縁できます。えらく薄情な仕打ちに思えますが、これが大問題になったという話も聞かないので制度として定着しているのでせう。不仲だった夫婦の妻が「死んでも夫の墓に入りたくない」という場合、この手続きで簡単に落着できます。但し、姓を元に戻すことはできず、その場合は別の手続きが要ります。

婚姻関係終了届 - 検索 (bing.com)


仙台発? ハイボールの「泪割り」を試してみた
 ラストシーンはハナの息子が経営する酒屋で店のレジカウンターを使って立ち飲みコーナーをしつらえ、ハナが接客係をつとめることになった。これで元気を取り戻そうというグッドアイデアです。で、酒のひとつにワサビ入りの「泪割り」を加えようと。仙台のスナックのママが惚れた客に想いを伝えるために創作?したレシピということになっている。ホンマカイナ?とマユにツバして試してみた。だが、ま、褒めるほどの味ではない。


で、もしやとハイボールを焼酎のお湯割りに変え、ワサビをショウガに変えてみたらどない?とテストする。季節柄、こっちの方がマシです。ショウガはチューブもんより、生のショウガを擦ったほうが断然香りがいいはずです。読書感想文がなぜか死後離婚の説明と酒のレシピの話になってしまいました。

 

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