礒井純充  本で人をつなぐ「まちライブラリーのつくりかた」

 このブログではときどき「まちライブラリー」と言う言葉が出てきます。市民の発想、企画でつくる民営の図書館で、2011年以後、全国で1000近くの大小の図書館が生まれ、いくつかは既に姿を消しています。この生みの親が著者の礒井(いそい)氏です。 礒井さんは森ビル株式会社で社会人教育機関「アーク都市塾」や産学連携・会員制図書館「六本木アカデミーヒルズ」を立ち上げた人で、最先端の知が集まる場所が職場だから憧れられる存在でした。
 それでもビジネスは「結果を出すこと」だけで評価されるから、だんだん違和感を覚えるように。エリート層なのに「サラリーマンに絶望」し?あれこれ悩んだ挙げ句に思いついたのが「まちライブラリー」でした。そして森ビルを退社、ただのオッサンになった。


 本を買って(借りて)読んで、オワリ・・にしない。礒井氏は本を介して人と人をつなぐことができれば、本も人ももっと生き生きできるのではと考えて、あれこれ模索、実験した末にようやく「まちライブラリー」が誕生。組織に頼らず、全くの個人活動で全国に大小のライブラリーが稼働しはじめたのだから、ハンパでない信念と説得力の持ち主なのでせう。蔵書が1万冊になっても検索サービスなんかないからはじめて訪ねた人はオロオロしますが、それがまた楽しい。本を探すのではなく、出会う、という感じです。(蔵書はすべて会員の寄贈によるもの)


dameo が会員になっている「まちライブラリー@もりのみや」は会員が8000人、蔵書は約1万冊。同じ区内にある公立の図書館より繁盛してるかもしれない。カフェもあるのでBGMも流れるし・・で静謐ではないけれど、慣れたらぜんぜん気にならない。自分が今までに寄贈した本は100冊くらい。うち、20冊くらいは昔にまとめ読みした「聖徳太子」関連本でした。会員の中には奇特な人もいて、新刊の文庫本を5年間に500冊寄贈した人もいる。


たしかに、公立の図書館に比べたらラフな空間だから人づきあいはしやすい。むしろ、ひとり静かに読書に耽るのが好きな人には似合わない空間といえる。なので、自分のように公共の図書館とこの民間ライブラリーを同じような頻度で利用してる人は少数かもしれない。最近は公立の図書館も利用者との交流をはかるための催事を考えるようになったけど、スタッフは石頭人(公務員)だから楽しい企画なんて、まあ望めない。


偶然にも5月15~17日のサンケイ新聞夕刊大阪版の文化欄で著者、磯井氏の活動を紹介する記事が掲載されたので下の写真でお伝えします。取材現場は「まちライブラリー@もりのみや」です。(2015年 学芸出版社発行)

まちライブラリー@もりのみや
https://machi-library.org/where/detail/563/

<追加記事> 6月には西東京市のどこかで三菱UFG銀行が絡む新施設の中に「まちライブラリー」が設置されるという情報があります。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000048.000079050.html


新聞に三日間連載された記事