紀藤正樹ほか共著「これから起こるマイナンバー犯罪」 

 

源泉徴収>システムに慣れすぎた国民
 この2冊の本を先に読んでいたらマイナカードの申請はしていなかったかもしれない、というのが正直な気持ちです。2冊とも制度を批判した本だから当然ですが、十分に勉強してから申請した人は少数ではないかと思います。
 大きな声では言わないけれど、政府がカードの普及を熱心に勧める理由のひとつが納税手続きや銀行口座をカードに紐付けし「税金の取りこぼしを無くす」ではないか。


日本のサラリーマンはほぼ全部が源泉徴収所得税をさっ引かれている。こんなの世界共通かと思っていたら,間違いでした。収入は自分で申告して税金を払う、というのが世界の標準らしい。では、サラリーマンでも副業を持つ人やネットで動画をアップして稼ぐユーチューバー、ブログで広告に加担して稼ぐアフリエイトなどの収入はきちんと税務署に申告し、所定の税金を払っているのか、といえば・・どうでせう。ズルしてる人、多いのではと思います。


バイトの稼ぎをズルして納税しない、というほかに、サラリーマンが妻を扶養家族として会社に申告していたけど、妻の稼ぎが増えて130万円(年金や医療保険を払う年収基準)を越えたのに知らん顔しているというケースもある。著者、紀藤センセの話では、この金額を扶養手当支給の限度額としている会社の場合、このズルは悪質で場合によっては解雇もあるという。
 また、飲食店などでのアルバイトでは店主が源泉徴収しないで給料を支払うことも多いが、所定金額(年間103万円=2015年現在)を越えているのに申告しないと脱税として罰せられる。1件としては微少な金額でも10万、100万になれば無視できない金額になる。


・・というわけで、マイナカードのシステムを少し学習した人のうち、何割かはカードの便利さを知ると同時になにやら不安を覚えることになる。納税は国民の義務だからと正しく理解、納得しながらも、ホンネは「できれば払いたくない」人がいる。単純に手続きが面倒くさいという人も多い。
 政府が消費税を1%アップしますといえば大問題になるが、税金をしっかり徴収しますと言えば正論だから誰も文句は言えない。実際に税金の取りこぼしがいくらあるのか不明なれど、こちらの税収増努力は賛成です。


銀行預金より現金保管がベター?
 昔、暴力団は悪行で稼いだ金は全部立派な?金庫で保管した。敵に襲われるリスクがあるのに、結局、これが一番安全、確実な保管方法だとなった。善良な?市民でも金庫に現金保管する人がいる。もし、マイナカードで銀行口座が紐付けされると大金の存在が第三者に知られることになるからそれはマズイという人は自宅で保存する。運の悪い人は強盗に襲われて大金を奪われる。


かように、政府は福祉制度や年金、税金、そして銀行口座までの情報をマイナカードに集めることを目指してるみたいです。よく言えば便利で親切なシステム、悪く言えば「国家による個人情報の一括管理」でありませう。こんなことを国民は望んでいるのでせうか。(つづく)