<続>紀藤正樹ほか共著「これから起こるマイナンバー犯罪」 <続>黑田充著「あれからどうなった?マイナンバーカード」                                                    

 マイナカードは便利だから世界中で普及しているのか、といえば必ずしもそうではないらしい。内容もバラバラでどの国のシステムがベストというのもないみたいです。充実度=便利さ?で最も進んでるのは韓国みたい。登録内容の濃さ、便利さ?では日本よりはるかに進んでるけど、だからといって日本国民より幸福だというわけではない。登録内容が細かいということは、個人情報をしっかり政府に握られているわけで、そんなことに満足する人がいるのだろうか。自分はゼッタイ、イヤであります。


紀藤センセによると、韓国では生まれた途端に赤ん坊にナンバーがつけられ、これは一生不変。確たるIDになる。これは北朝鮮のスパイ対策でもあって一九六〇年代にはじまった。個人履歴も細かく記録され、例えば交通違反歴もすべてカードに残る。預金額が記録されるのはまだしも、借金も記録される。よって、ワルの公務員がデータを盗み見して借金まみれの女性を探し出し、こっそり売春を斡旋する。その稼ぎをピンハネして稼ぐ。想像するだにオソロシイ。その上、韓国ではたびたび個人情報の大量流出事件が起きて、かつ、有効な対策もない。それでも、もうこのシステムの廃止はありえない、というくらい生活に馴染み過ぎている。


アメリカで一番メジャーなカード犯罪は「なりすまし詐欺」。年金システムの情報が巧妙に盗み出されてワルが実在の市民になりすまし、年金を横領する。この被害が何十億円にもなるというから、犯人は個人ではなく組織であること間違いない。退職して年金の受給手続きをしたら、誰かが自分の年金をすでに受け取っていた・・。アタマに血が上るショッキングな出来事です。


政府も銀行も個人も、一所懸命にセキュリティを考えて「これで大丈夫」というシステムをこしらえても、必ずそれを上回る悪智恵の持ち主が現れて横取りする。そんなにエグイ悪者でなくても、例えば昨日のニュースで報じられたのは関西電力の社員が見ることを許されない顧客の個人情報を盗み見して営業活動に使っていたという。しかも加害者は何十人というオーダーだから悪質だ。


カードシステムのことだけ考えても、自分は韓国人や中国人に生まれなくて良かった、と思うのであります。さらに、紀藤センセが言うに、高度なシステムを構築するのがヨシとしても、それを維持すること(情報の更新)に莫大なコストがかかることに留意するべきだという。データは蓄積するだけでなく、絶えずメンテナンスする必要がある。それはエレベーターと同じで、最初の設置費用も高額だけど、後々のメンテナンスに何倍ものコストがかかる。そして、残念なことに、そこには必ず利権問題が生じる。あの悪質「電通」みたいな利権ビジネスが生まれて、しかも表にでない。国民の知り得ない巨大闇社会が生まれる。ま、NTTとか、民間企業なのに誰しもが絶対コケない会社だと思っている。コケる理由が考えつかない会社なのです。


マイナカードを取得しながらカードの悪口を書きましたが、ま、自分は使い慣れるまえにあの世行きだからドジもハジも、まあええか、ということで。しかし、三途の川を渡り終えたら、岸辺で「閻魔カードの申請はこちら」と受付してたりして・・。オイオイ。

 


(2016年 洋泉社発行)