閑人帳

えらいことゆうてしもた~~? <朝日五輪社説>

 朝日新聞が社説で五輪大会の開催中止を菅首相に求める社説を掲載してから一週間がたった。キッパリと主張を述べた社説なのに全文を読むと、なんとなく散漫な印象になるのは複数の論説委員の言い分を取り入れてしまうからで、これは社説の宿命というか、まあ、仕方ない。


 この社説は多くの共感を得たと思う。朝日の世論調査では8割くらいの人が五輪開催に反対しており、朝日にとっては強力な援軍になっている。だから、この反対パワーに押されて菅首相は五輪中止を決断するのか、といえば、そんなことありませんね。中止どころか、朝日の社説が政府や五輪関係者のモチベーションを高めることになったのでは、というのが自分の考えです。つまり、逆効果。


 さらに、先月中旬あたりからワクチン大量接種の実施スケジュールがバタバタ出来し、つい先日まで接種は高齢者と医療関係者のみが対象になっていたのに今日(6月2日)はもう企業や大学での実施まで具体案がでています。要するにワクチン接種は他人事ではなくなった。


 官民の協働によって1日に50万回以上の実績を積めば国民の意識も急速に変わります。感染状況が今より劇的に悪化しない場合、ワクチン接種を済ませた開催反対論者がすべて反対論を維持するだろうか。朝日の五輪中止の提言は感染状況の改善がなされず、国民の恐怖感は今後も変わらず継続することを論拠にしている。日本国民も日本政府も無能レベルのまま、が前提の中止要請であります。


 朝日の社説に共感した人が多かった一方、朝日はこの提言でしっかり敵をつくってしまった。選手やスポーツ関係者のほぼ全部を敵に回した。朝日の社説を応援した人はその後の状況変化でコロリと変身する可能性があるけど、敵になった人は生涯朝日に嫌悪感を抱くこと、ほぼ間違いない。この差は大きい。


 「覆水盆に返らず」これからの朝日新聞は五輪大会をどう報道するのか。開催を否定したのだから、ポジティブな内容の記事は書けない。選手に対して励ましやねぎらいの記事を書くのも自己矛盾であります。いや、もう・・えらいことゆうてしもたなあ~~。はや、後悔している人、いるかもしれません。