<考える人>は総理になれない?・・・

 紙の新聞でしか読めない地味な記事の一つが総理の一日の行動を分単位で記録したメモ。こんな記事がなに程の役にたつのか不思議な気もするけど、ときどき読みます。おそらく読者の1パーセントも読んでいないでせう。


総理が誰であれ、感心するのはモーレツな忙しさです。総理を務めるにはアタマの良さや人柄より、とにかく体力があることが必須の条件です。アタマより馬力、スタミナが肝要。それに、些細なことで腹を立てたりしないこと。
 下のコピーは10月18日の記録ですが、これで仕事の量は平均くらいです。朝から晩まで1分単位で記録されており、これ以外にすることはトイレに行くことくらいでせう。あの田中角栄が「人間ブルドーザー」といわれたのは。この多忙を楽々こなしたからです。浮気や汚職をする余裕もあったし。


 で、この行動メモを読んで気づくことは総理自身「沈思黙考」に費やす時間なんてほぼ無いということ。政治案件を自ら創造するなんてないのではと思います。新規の案件はすべてスタッフや官僚が考え、まとめる。総理のアイデアなんて一つもないでせう。一つの案件を一時間も考えあぐねるなんて、そんな悠長なことは許されない。総理の仕事は○か×か△か・・判断するだけではないか。なのに、世間には将棋の駒ひとつ動かすのに一時間も考える職業があるなんて・・。なお、総理と面談できる官僚の下限は「審議官」かもしれない。


総理がクリエイティヴな仕事ができないなら周りのスタッフがそれを勤める。その人材の優劣が総理の、内閣の評価を左右する。総理にはなりたくないけれど、国家の行く末を決める政策づくりに携わりたい人はゴマンといるでせう。本当に優秀な「考える人」たち。そんな人たちの多寡が国家の行方を左右する。


何気に「忙しい」と口にするけど、たまには総理大臣の忙しさを知って自分の多忙のクオリティを考えるのもヨシとする。いや,天地の差が大きすぎてアホらしいだけですね。


10月18日 産経新聞の「岸田日誌」