図書館の書棚の「俳人漱石」のとなりに集英社新書の「文豪と俳句」があったので、これも借りてチラ読みしました。俳句づくりも嗜んだ小説作家の作品を解説した本です。漱石の句もでてきますが、前稿で紹介した<菫(すみれ)程な小さき人に生まれたし> はオフィーリア(ハムレットのヒロイン)のイメージからつくった作品だと書いてありました。へえ~~、そうだったのか、とこれは小さな発見でした。オフィーリアの兄、レアティーズのセリフ「美しい汚れを知らぬ妹のからだから、スミレの花よ、咲き出でよ」が発想のモトになった。
尾崎紅葉、森鴎外、宮沢賢治、太宰治、などの有名作家の句が紹介されていて、それぞれの個性、センスが現れています。最後に紹介されていた瀬戸内寂聴の作品も印象深いものです。
子を捨てしわれに母の日喪のごとく 寂聴
老いし身の白くほのかに柚子湯かな 寂聴
(2021年 集英社発行)