川本三郎「ロードショーが150円だった頃」を読む

 副題~思い出のアメリカ映画~ 今頃こんな本の感想文を書いても誰も読んでくれへん可能性100%・・。なんせ1950年代の話ですからねえ。後期高齢者でなければ付き合えない話題です。しかし、懐かしさに誘われて読みました。嗚呼、我が青春の映画満喫時代・・。


著者、川本三郎氏は1944年生まれなので dameo より5歳下、これくらいの年齢差なら鑑賞した映画はそれほど違わない。リストを見て分かりました。著者とdameo 両者が観た映画は次の作品です。(全部アメリカ映画)

◆「真昼の決闘」
◆「赤い風車」
◆「大アマゾンの半魚人」
◆「裸足の伯爵夫人」
◆「エデンの東
◆「海底二万哩
◆「ピクニック」
◆「山」
◆「ジャイアンツ」
◆「翼よ、あれが巴里の灯だ」
◆「戦場にかける橋」

本にはこれらの2倍以上の作品が紹介されていますが、重複するのは以上だけ、それにヨーロッパの作品は除外されています。これらの映画を映画館で見たことある人、はてなの読者ではゼロ人ではと想像します。DVDなどでご覧になった人はおられると思います。


書名で謳うように、当時はロードショーで150円、学生は120円だったかもしれない。現在の十分の一くらいです。自分がいちばんよく通った住宅街の二番館は二本立てで学生は80円でした。最多の年は年間80本くらい見た。(題名をノートに書いていた)


1950~60年はアメリカが一番幸せだった時代です。映画でもハリウッド制作の作品が世界を制覇していた「よき時代」でした。因みに、 dameo が生まれてはじめて観たカラー作品は「腰抜け二挺拳銃」という珍しい西部劇の喜劇、主演はボブ・ホープ、ヒロインはモーリン・オハラだったか?・・こんなこと思い出せるんですねえ。アメリカ西部の大自然が「総天然色」で映しだされて大コーフンしたものです。小学校5~6年生のことでした。


 そのあとで観たエリザベス女王戴冠式の記録映画の華やかさも印象強烈でした。(昭和天皇・当時は明仁皇太子が列席された)ふる~~~~。
 当時のハリウッド作品は、中身は勧善懲悪、主演は美男美女というパターンで、女優の美女ぶりは現在の凡庸な容姿の女優とはケタ違いに美しかった。


エリザベス・テイラーエヴァ・ガードナーキム・ノヴァクグレース・ケリー、デボラ・カーなどの標準型美人多々、マリリン・モンローはややアウトサイダーって感じ。彼女ら美人女優に共通してしている点は「貧乏人役は似合わない」ことです。ついでに書けば、今でも忘れられない絶世の美女、ナンバーワンは「トロイのヘレン」のヒロイン、ロッサナ・ポデスタ(イタリア人)でキマリ。二番目が「クレオパトラ」のエリザベス・テイラーです。
 思い返せば、百年近い映画の興隆史のなかで一番華やかだった時代の作品を鑑賞できたのは幸運でした。(2000年 晶文社発行)


<追記> 本書によると、上のリストにある「赤い風車」永井荷風が観ていた。作品「断腸亭日乗」に、昭和28年6月3日女給を連れて有楽座で観たという記述がある。荷風自身、若いころ巴里に遊学したことがあり、懐かしがって出かけたらしい。・・にしても、明治生まれの永井荷風と中学生だった自分が同じ映画を観たなんて・・・昭和は遠くなりにけり、であります。


「赤い風車」の主人公は画家のA・ロートレック。演じたのはホセ・ファーラー、監督はジョン・ヒュートンだった。自分がそうだったように、この映画を観た人はみんなロートレックファンになりそうな気がします。

 

エリザベス・テイラー

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