百田尚樹「百田尚樹の日本国憲法」を読む

 日本国憲法の解説書、啓蒙書はわんさとあるけれど、作家が書いた本なのでツボを心得てるというか、とても分かりやすい。中学生が読んでも十分理解できるのではと思います。もちろん、一番読んでほしい人は「憲法改正絶対反対」を唱える人ですが、まあ、読む人はいないでせう。


日本は島国であることが幸いして、過去に外国による支配や植民地化を経験していないのですが、歴史上、ピンチはありました。最初は7世紀の「白村江の戦い」大軍を朝鮮半島に送ってボロ負けした戦です


貴族社会である平安時代が過ぎ、武家社会に代わったころに元寇、すなわち、元による二度の侵攻を受けます。もし、平安時代がもう少し長く続いていたら日本は防御のすべがなく、被支配国になっていた可能性が高い。朝廷や貴族には防衛力なんかありませんからね。もしや、私たちはローカルな中国人になっていたかもしれない。・・といった、侵略、防衛の歴史から現憲法の成立までを要領よく解説しています。


改憲を望む人は「九条」だけでなく、憲法の前文も書き直すべきというのが常識になっています。本書では外国の憲法や前文も紹介していて、一番目立つのは中国の憲法前文です。やたら長い。おまけに、毛沢東、鄧小平、そして習近平という個人名が出てくる。とにかく、自慢話全開の憲法前文です。


さらに、ビックリするのは「台湾は中国の領土である」と書いてあること。「台湾は中華人民共和国の神聖な領土の一部である。祖国統一の大業を成し遂げることは台湾の同胞を含む全中国人民の神聖な職務である」とハッキリ書いてあります。いずれ「尖閣諸島は中国の領土である」と書くかもしれない。「憲法に書きましてん。文句あっか」と言い出しかねない。


巻末に百田尚樹流九条改正案が記されています。憲法改正に反対する人は、下の<2>が気に入らない。侵略されても抵抗しない。するべきではないという考えです。

 

百田尚樹憲法九条改正案

1・日本国民は侵略戦争は永久に放棄する。
2・日本国民は、日本が他国からの侵略を受けた場合、徹底してこれと戦う。
                          ~以上~
(2020年 祥伝社発行)

 

f:id:kaidou1200:20210908223557j:plain