BRUTUS編「すべては、本から。」を読む

 

 めったに立ち寄らない雑紙売り場で目にとまったのがこの本。購入するのはン十年ぶり・・であります。いまどきの若者、中年はどんな本を読んでいるのかという傾向と売れ筋を知りたくて買いました。文字の小さいのが気に入らないがムリしてページを繰る。カッコイイとおもったのは森永博志氏の「勝手に自家装幀本」というページ。市販本の表紙を自分流におしゃれにデザインしてこの世に一冊きりの愛蔵本にする。でも、相当のハイセンスと器用さがなければできないみたい。


この時代の人気作家はだれなのか。紹介されているのは阿部和重氏と多和田葉子サンでした。名前は知っているので図書館へ寄って一冊ずつ借りた。
 多和田葉子「海に落とした名前」と阿部和重クエーサーと13番目の柱」。
残念ながら,両作品とも期待はずれでした。ぜんぜん面白くない。「海に落とした名前」は航空事故のショックで記憶をなくしてしまった女性の話。記憶は消えたけど、バッグにはレシートの束が入っていて、もしやこれが記憶回復のきっかけになるのではというのですが(バッグにレシートが大量にはいっているというのは不自然だ)話がもたもたして前へ進まない。で、展開がないままポチリと終わってしまいます。アホクサ、であります。


阿部和重クエーサーと13番目の柱」。なんの話やねん、といぶかりつつ30頁ほど読み進んだけど、愛想尽きて読了。時間の無駄になりました。
 というわけで、たまたま駄作に出会ってしまったのが残念ですが、それは自分の鑑賞力のないせいかもしれず、別の人が読めば十分面白い読み物かもしれません。次回はもう少しマシな作品に出会えますように。


多和田葉子さんはドイツ語でも小説を書いてる国際派の作家だそうで、国境も言葉の壁も楽々越えて、国際的評価では村上春樹を追い越すかも・・。期待しませう。(2021年 マガジンハウス発行)

 

阿部和重

 

多和田葉子