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~レガ爺 dameo の泡沫ライフ~

 日高義樹「アメリカが日本に<昭和憲法>を与えた真相」~その1~

長文になったので2回に分けてアップします。

 dameo は憲法改正賛成論者でありますが、賛否いずれであっても最低数冊の書物を読まないと現憲法の発想~成立のプロセスは理解できないと思っている。一冊読んで「憲法、ぜんぶ理解できました」はあり得ない。ネットで家庭料理のレシピを数本読んで「和洋料理の作り方全部分かりました」と云うようなものだ。しかし、現実はどうか。一冊も読んでいない人が国民の半分位いるのではないか。


本書はNHKの特派員として長くアメリカで活動した著者が、その豊富な人脈を生かし、インタビューを重ねて日本国憲法成立の裏側を明かした本。
 
どんな人にインタビューしたか。主な名前を挙げると・・
ヘンリー・キッシンジャー(元国務長官
・ジェームス・シュレジンジャー(元国防長官)
・ズブグニュー・ブレジンスキー(元大統領補佐官
ジョージ・ブッシュ(第41代大統領)
ジミー・カーター(第39代大統領)
・ヘムルート・シュミット(元ドイツ首相)
・ゲアハルト・シュレーダー(元ドイツ首相)
・ジョン・ガルブレイス歴史学者
ピーター・ドラッカー経営学者)
・ジャック・キャノン(連合国軍キャノン機関長)
・ビクター・ウイリアムズ(連合国総司令部民生部長)ほか


さて、内容を簡潔にまとめて紹介すべきところ、これが難儀でございます。残り少ない頭の毛をかきむしって呻吟・・というほどでもないけど、何から書いていいのやら。ま、なるべく柔らか~く書いてみませう。


地球上には善意満タンの国家、国民しかいないハズ、と説くキレイゴト満点の憲法「前文」をはじめ、原案は日本を占領していたアメリカのプロジェクトチームによって発案され、日本政府に呈示、合意の上で完成した。これが憲法問題を考える上での大前提です。つまり、日本国憲法は事実上MADE IN USA。


その製造責任者がダグラス・マッカーサー。むろん、彼一人が仕切ったわけではないけど、マッカーサー憲法と言ってもよいほど影響力は強かった。そして、新憲法づくりの一番のコンセプトは「日本への復讐」であった。自国にも多大の犠牲者を出した、戦争の勝利者としては当たり前の発想である。日本が二度と欧米に刃向かうことができないように、徹底して無力化する。世界に冠たる「平和憲法」の発想のモトは、まず復讐ありきだった。そのホンネを隠して美しく文章化したのが第九条だ。


このことはほとんどの日本人が知っているハズでありますが、戦争放棄を謳う「九条」が、まるで戦後日本人の発想、総意で出来たかのように思い違いしている人もいる。言うまでもないが、新憲法制定の経緯において日本国民の発想が反映されることなどあり得なかった。


日本をどう処罰するか、はポッダム会議の時点から議論されたが、結局はマッカーサーに委ねられた。日本への復讐は成就したとして、もう一つ大きな課題は天皇の扱い。映画「終戦のエンペラー」にも天皇の処遇、付き合い方をどうするか、の場面があるけど、マッカーサーに限らず、欧米人には天皇の存在自体がとても理解しにくい。むろん、戦争責任者として断罪することも可能だったが、結局「国民の象徴」として残すことになった。


それは、天皇への畏敬の念ゆえではなく、存続させたほうが占領国家を統治しやすくなると考えたから。もし、勝利者の権限で天皇を廃止したら、日本国内は一挙に不穏になり、各地で反乱が起きかねず、それを収束するための軍事行動で米軍に死者が出ること必定である。そんなリスクを犯すより、残して平穏を保つほうが理にかなっている。ハイハイと占領軍のいいなりになっている日本政府も、天皇制の存廃問題にはえらくこだわった。国民に計らないまま歴史を断絶させるなんて耐えられない。


憲法の原案は英文で作成され、日本語に訳されて政府へ届けられ、要望事項や修正で何度もやりとりがあって最後に英語、日本語で正式文がつくられて、双方が確認した。この間のやりとりで、かの白州次郎が活動した。


新しい憲法について国会議員の反応は良かった。米軍関係者がたびたび国会議員と接触し、反応を確かめたが、九条を含め好意的に受け止めていた。一番歓迎された案は「象徴天皇制」だった。(つづく)