水について考えたこと・・ボトルウオーター<2>

 日本国内ではボトル水はいかほど生産,流通しているのか。昨年のデータがあったので掲載します。国産は446万キロリットル、輸入品が25万キロリットル。合わせて471万キロリットルです。市場規模は20年前の3,5倍、この10年間では1,5倍に増えた。間違いなく成長産業であります。
 下のグラフには金額も出ている。数字は工場出荷価格なので小売価格は最低でも3倍、一兆円を超える。たかがペットボトルの水とはいえない巨額になる。

 

 

年間470万キロリットル。この数字は重さでもあるから470万㌧となる。470万㌧の水を4トントラックに積めば120万台を要する。配達されるあらゆる商品(消費財)のなかで,一番重量が大で一番単価が安いモノを運ぶためにどれだけ多くの費用がかかるか、汗をかくか、考えたことありますか。


ボトル水の単価が水道水の500倍、1000倍にもなるのは水の品質が優秀だからではなく、流通コストが莫大だからです。そして流通経路の末端では、この安くて重い商品の運搬を人間が担っている。製造工場よりずっときつい作業を強いられている。ま、そんなこと考えたら100円のボトル水買うたびに罪悪感にさいなまれますよ。配達員さんは家で冷やした水道水を飲んでるのにね。
 環境問題がどうたら、SDGSがなんたらと訳知り顔で持論をのべる人がボトル水の愛用者であればかなり恥ずかしい。しょーもない見栄を捨てて明日から水道水に切り替えませう。見栄ではない、水道水がムチャまずいからだ、というなら、なぜマズイのか調べてみよう。


 大阪府民は淀川を通じて京都市民が排出した下水を飲んでいる。まぎれもない事実です。だからボトル水を愛用してるのだ、という大阪府民がいたら・・アホちゃうか、と見下げられるだけでせう。
 と、ボトル水の悪口を書いてみましたが、世間からボトル水を排除せよ、とはいわない。災害時には必要不可欠な保存水として役にたつから役所などは大量の保管が必要であり、個人宅でも10㍑くらいは保存しておくほうが安心。(保存期間は1~2年)ユーザーが考え直して二人に一人がボトル水の常用をやめたら業界の売り上げは半分になり、ええかげんな「天然水」のメーカーは淘汰される。


ものは考えようで、有り難みを実感できないボトル水にお金を使うより「ふるさと納税」に協力するほうが有益ではないか。ボトル水の購入に年間2~3万円消費するより同じ金額で「ふるさと納税」をする。もしや返礼品に地産のボトル水を用意している自治体があるやもしれず、それなら、さらに有り難みは増す。(食材+ボトル水 合計3万円とか)ふるさと納税の2022年度の利用額は9600億円で、ボトル水の消費額とほぼ同じである。返礼品の重量が470万トンなんてあり得ないから環境への負荷は減らせるし、配達員の重労働軽減にもなる。


ボトル水愛用者は水環境への加害者になる
 グラフが示すようにボトル水産業は右肩上がりの成長を続け、来年あたりは年間500万トンに達する。さらに増産すると当然「水資源の枯渇」が起きる。自分が買ったサントリーのボトルのラベルにはちっちゃい文字で「汲み出すだけでなく、水の涵養にも努めています」とあるが、これは森林の保護のことを指す。メーカーはすでに危機意識を持っている。しかし、これはサントリーだからいえることで、二流企業はとことん汲み上げて枯れたら廃業すればよいと安直に考えるのが常識だろう。(森に降った雨が地下で清冽なミネラルウオーターになるまで20~30年かかる)なんにせよ、ボトル水の生産増加はメーカーが儲かる以外に良いことはひとつも無い。酒や珈琲とちがって、もともと具体的な付加価値なんて何も無い商品に年間一兆円も費やすアホらしさを考えてほしい。煙草をやめるのと違って、ボトル水をやめるのはいとカンタンである。やめたあと、どうしても飲みたくなったら飲めば良い。だれにも迷惑をかけない。己のアホさを認識するだけで落着する。
 日常生活ではほとんど意識することがない水の問題、日本人はシアワセであります。

(参考・日本国内の年間ビール生産量は約190万キロリットル。重量比でボトル水の約4割です) (つづく)