dameo の<リニア中央新幹線不要論> ~その2~

 前回は利用者の立場でリニア新幹線不要論を書きました。続いて技術面での
リニアに関する不信感や不安を書きます・・といっても自分にはぜんぜん知識が無い。まずは、川辺謙一「超伝導リニアの不都合な真実」という本を読みました。表現は穏当ながら、リニア新幹線開発は失敗する。プロジェクトは中止するべきと説いた本です。ならば、その反対、リニア新幹線の技術の素晴らしさや、国民、国家にとっていかに有益であるかを説いた本もあると思うのですが、書店では探せませんでした。(欠陥や問題点を書かない「夢のリニア技術」解説本は役にたちません)


で、上記の「・・不都合な真実」本を読んだものの、これを要約してブログで分かりやすく説明するのは無理だと判断しました。現新幹線がモーターで車輪を回してレールの上を走る・・は小学生でもわかるのに比べ、超伝導コイルやヘリウムガスや極超低温冷却・・技術で車両が浮いて時速500キロ云々、の技術解説は石器時代脳の爺さんにはムリであります。


ここでは本書を読んだうえでの個人的感想を書きます。あと数年で品川~名古屋間が開業することをイメージしての想像です。

リニア新幹線利用に当たっての不安感は現新幹線の利用より遙かに大きい。
リニア新幹線の乗り心地が現新幹線より優れることはあり得ない。
・運転士がいないので、緊急時は客室乗務員が対処する。
・駅間距離が30~50kmで8割がトンネル。事故時に無事脱出できるのか。
・全電源喪失やトンネル内火災に対処できるのか。
・必要がないので、待合室や売店は作らないシンプルな駅になる。


◆素人でも想像できる「不安なメカニズム」の例
 下の写真は台車を上から見たところです。リニア新幹線は「超伝導浮上走行」と「車輪走行」二つのメカを駆使して走行する。このため、もの凄く複雑なメカニズムになり、必然、故障の発生リスクが大きくなります。


 素人でも分かる心配の一つは「車輪走行」での不具合です。駅が近づいて時速が150kmに低下すると車体が沈んで車輪走行になる。この場面、飛行機が滑走路に着地するのと同じですが、車輪(ゴムタイヤ)はうんと小さく、台車一つに8個、16両編成(17台車)では計136個の車輪が動作します。
 飛行機の着陸と同じで、車輪は接地瞬間に時速ゼロから150kmで回転するので大きな負荷がかかる。これが136個、一つでも不具合があれば「事故」になる。さらに、この場面の繰り返しが飛行機よりずっと多く、一日に何十回となる。タイヤとメカにどれほど大きな負荷がかかるか想像できます。現在の短い実験車両編成では負担の大きい営業編成でのテストができない。


◆電力は新幹線の4倍必要
 メカの話ではありませんが、リニア新幹線の走行では超伝導磁石の動作で大きな電力が必要です。試算では現新幹線「のぞみ」の走行の約4倍、品川~名古屋の営業運転では27万kw、品川~大阪では74万kwという、原発一基ぶん位の電力が必要です。それでも飛行機に比べたらCO2排出量は大巾に小さい(三分の一程度)ので、東京~大阪間の旅行者の多くが飛行機利用からリニア利用に移れば意味があります。しかし、人はCO2量で乗り物を選ぶわけではないから、前回書いたように、リニア敬遠の人が多いはず。もし,リニアが「がら空き」運行すれば、ものすごい電力の無駄遣いになります。(つづく)

乗り物とCO2排出量の比較グラフ
https://power-hikaku.info/column/linear.php


超伝導リニアの不都合な真実」39頁から引用
高速は超伝導走行、低速では車輪走行するため,台車のメカニズムは凄く複雑、かつ、デリケートなものになる。