古事記に関する本にも、硬軟いろいろあって、これはもうガキでも分かる、マンガ入りの一番カジュアルな本のハズと思って買ったのですが・・・。たしかに分かりやすいけれど、国造りのストーリーは十分ややこしくて、結局断片的に頭に残るだけです。ま、しゃーないかと諦めました。
古事記のなかで「出雲」が大きな役目を果たしていることが分かりますが、国造りの歴史では権力闘争の「負け組」としての役目を背負っています。それにしては出雲大社のような立派な社殿があることや、大量のスグレモノの発掘品があることから、敗者のミジメさはなく、逆にえらいリッチな感じがします。
あの高さ48m?の巨大神殿も,実はオオクニヌシが敗戦交渉のなかで、負けを承知する代わりに、デラックスな家(神殿)を建ててくれと要求し、勝ち組(アマテラス組)がそれを認めて建設した。古事記にはそう書いてあります。しかし、巨大神殿は設計ミスか施工不良で何度もコケてしまい、結局、現在の出雲大社の社殿が残った。もちろん、これも大変立派な建造物です。
出雲の神話といえば、誰でも知ってるのが「因幡の白兎」の 話。これに関して、本書ではなく新日本海新聞(大阪日日新聞の親会社)の文化面にとても興味深い記事がありました。兎がワニをダマしてワニの背中をぴょんぴょん跳びわたって陸地に着く話、実は、大昔(2万年前)は隠岐の島と山陰海岸とは陸続きだったというのです。その後、気候の温暖化で海水面が上昇し、6千年前には現在のようになったと。隠岐の島にはオキノウサギという固有種が今でも住んでおり、ワニはサメのことで、これも当地で「ワニザメ」を正月行事に食する習慣がある。 ワニを並べてその背中をぴょんぴょん・・の発想は海蝕された岩盤の光景から想像できる。
・・ということを考えれば、この荒唐無稽なお話も全くの作り話と言えないのではないか。記事の筆者、赤木三郎理学博士はこのように述べています。文字も無く、言語さえ怪しい旧石器時代からの伝承が、何の因果か「古事記」に反映されている。なんともロマンチックな話ではありませんか。
宮崎県青島の「鬼の洗濯板」この海蝕風景から、ワニを並べて背中をぴょんぴょんのシーンは想像しやすい。
出雲大社 巨大神殿の復元想像図