梨木香歩「西の魔女が死んだ」を読む

 作家が小説の構想を練るときは「どんな読者に読んでもらいたいか」が重要な要素になりますが、本書においては40歳以上の男性はまったく視野にないでせう。そこんところ、オジンが少しの義理あって読んだのであります。内容は若い女性向きのファンタジー。日本なのに魔女がでてくる設定がユニークです。


主人公はまいという少女。中学で不登校になって田舎に住むばあさんの家に居候する。婆さんが魔女です。まいの母がハーフだからばあさんは異国の人(英国人?)二人が同居するなかで少しずつ「魔女になるためのトレーニング」を受けます。むろん、魔女イコール悪女ではありません。本書ではむしろ修道女のイメージで描かれ、まずは精神修養の大事さを教えます。魔女は教養人でなければならぬと。


以下、略・・でかまわないのですが、魔女の話にかこつけて不思議なできごとを一つ。本書を読んでる最中の某日、テレビが動作しなくなりました。スイッチ・オンにすると画面に「地上波・BSとも受信出来ません」の表示。これはアンテナコードの接続不具合かと思って点検しましたが、問題はありません。購入後6年目なので故障が起きても仕方ないかと思うも、なんだか腑に落ちない。翌日、翌々日もときどきスイッチ・オンをくり返したけど治らない。


この本を読み終えた三日目、外出からの帰りみちに、購入した電器店の前を通るので、修理を頼もうと店に入りかけたが、どうも気が進まない。で、そのまま帰宅すると、玄関ドアに関西電力のチラシが入っていて、「お客様の電力メーターをスマートメーターに取り替えました」とある。今まで係員が一戸ごとにメーターの数字をチェックしていた作業を通信回線で計測する新しいシステムです。しばらくして、昨日と同じようにテレビをスイッチ・オンすると・・あらら・・ちゃんと映るではありませんか。なんで?


テレビが勝手に故障して、三日かけて自分で修理したのか。そんなアホな。それで気づいたのが関電のチラシ、通信回線で使用電力を測る・・この工事を三日前からすすめていたのではと疑いました。しかし、テレビの受信とは関係ないしなあ、と理解しつつ、ほかに故障→自動修理の理由が思いつかない。恥かき覚悟で関西電力に電話した。「あのう・・かくかくしかじか」答えは「そんなこと、あり得ませんよ、ガハハ」案の定、恥をかいてオワリです。


もし、電器店で修理を頼み、すぐにおじさんが来宅してスイッチを入れたら、当然ちゃんと映ります。「なんも故障なんかしてませんで」。再び恥をかいたうえに出張料金を取られたでせう。いや、助かったなあ。ひやひや。
 しかし、故障→勝手に修理、復帰の謎は解けない。ま、そういうこともあるかと思いつつ、この本を読んだ行きがかりで魔女のいたずらのせいにしました。フヒヒ。(平成13年 新潮文庫発行)