林真理子「運命はこうして変えなさい」を読む

 わりと白黒はっきりした物言いをする林真理子は、世間でも好き、嫌いの評価がきっちり分かれると思うけど、dameo は好きなほうであります。食うや食わずの貧乏暮らしの時代から「上昇志向」にこだわり、文筆力だけで出世してセレブの仲間入りを果たした。その自負と自信を背景にした物言いが世間の反感をかうのでありますが、それで怯まないのがこの人の良いところ。


週刊文春で38年以上エッセイ「夜ふけのなわとび」を書き続けてることが自信の背景であるらしい。(同一雑誌における連載回数でギネスに認定された)確かに、浮き沈みの激しい物書きの世界でこのロングライフは価値があります。嫉妬するライター多々と思いますが、ま、本人は「悔しかったらマネしてみろ」の思いでありませう。このエッセイの文庫化本の売れ行きが400万部以上というから、これだけで億単位の収入になるかもしれない。


作家修行時代の貧乏ぶりといえば、同じ名字の林芙美子を想像してしまいますが、苦労の度合いは芙美子サンのほうが100倍多かったでせう。ゆえに作家として成功したあともセレブどころか、染みついた貧乏性が抜けず、舞い込む注文は断れずに書きまくって過労、病死と「花の命は短くて・・」を自ら体現してしまった。


その点、林真理子センセは器が大きい。ガツガツ稼ぐ一方で、セレブな生活もしっかり楽しむゆとりがある。本書のどこかに「私にいちばん活力をもたらしてくれるのはショッピングなのである」とでっかい文字で書いてある。こんなえげつないフレーズを書ける「文化人」のはこの人だけです。読む方が恥ずかしくなる。ネットでの悪口なんぞ、巨象にたかるハエのごとしであります。(2018年 文藝春秋発行)

 

左ページには「私は掃除も料理も大好き」という人もいるが、この場合、どちらもイマイチということが多い」とある。

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