昨日の投稿「秋の歌」で藤原定家の歌を紹介したら nmukkun さんも同じ歌を選んで紹介され、古典名作のバッティングになりました。歌謡曲とちがって、賞味期限はあと1000年くらいはありそうな名歌です。作者、定家は「何も無い」と歌ってるのに、読み手には強烈に「ある(イメージ)」を印象づける、斬新な発想です。
昨日はヴェルレーヌの「秋の歌」は上田敏の名訳に一目惚れしたと書きましたが、金子光晴もこの詩を翻訳しています。(他に堀口大學訳もあります)
因みに、原語は以下の通り
Les sanglots longs
Des violons
De l'automne
Blessent mon cœur
D'une langueur
Monotone.
金子光晴訳(第一節のみ紹介)
秋のヴィオロンが
いつまでも
すすりあげてる
身のおきどころのない
さびしい僕には、
ひしひしこたえるよ。
上田敏訳
秋の日の
ヴィオロンの
ためいきの
身にしみて
ひたぶるに
うら悲し。
金子大センセには申し訳ないけど、語感、情感、余韻・・において上田敏訳にはとてもかないません。他にも「山のあなたの空遠く・・」など、名訳がたくさんあり、今でもン十万人のオールドファンがおられるのではと思ってます。