キタとミナミ  ミュージアム巡りの旅 (7)


青森二日目
雪の八甲田山・・ワ・ラッセ(ねぶた展示館)・・怪しいバー「F」

八甲田山は冬景色
 6月1日 今日は、午前中八甲田山へ、午後は青森駅前の「ワ・ラッセ」を訪ねます。早起きして、駅前からJRバス十和田行きに乗ります。路線バスだけど観光バス仕様の快適な車両です。50分くらいで萱野高原に着き、一人下車して近辺を散歩。青い空と新緑の森林、残雪の山肌がとてもきれい。風景としてあまりに整いすぎていて「なんとかならんかい?」とゼータクな不満。


 次のバスでロープウエイ乗り場へ行き、100人乗りの大型のゴンドラで1300mほどの山頂へ。標高差600mをわずか10分で運んでくれます。眼下の樹海風景は秋には錦に染まって大人気のスポットです。
 
 山頂に着いて駅舎屋上の展望台に上がってビックリ「ドヒャー、なんやねん、この風景は」どうみても冬景色です。えらいこっちゃなあ・・期待した高山植物なんかあるはずもない。大半の客は次の便で下りてしまいましたが、ロープウエイ代1800円も払うたもんなあ・・とまた貧乏性が頭をもたげる。で、駅で長靴を借りて山頂遊歩道を歩くことにしました。他にも「1800円もったいない組」が数人いて、ヨタヨタしながら歩いてます。  


本来の道になるところにポールが20mおきくらいに立っているので、道迷いの心配はないけど、ときどきゴーッと突風が吹くとコケそうになります。しかし、まあ、なんと雄大な眺めでありませう。金剛山より200mほど高いだけの山なのに、6月になってもこの雪景色。すぐ近くの「酸ヶ湯」が日本一の積雪量を記録したのが頷けます。係員が30分で戻れますというコースを45分かかって歩きました。


萱野高原からの北八甲田の山並み
青森1日 

秋の紅葉風景がすばらしい樹海 (ロープウエイから)
青森 

秋はこんな眺めになります。 
画像引用元 http://abegumi.com/kouyou.html
八甲田紅葉 


山頂(約1300m)に着けばこの風景
青森



6月とは思えない雪山風景にびっくり。幸い、気温は15度あって、寒くはなかった。 写真下方の平地が花のいっぱい咲く湿原です。
青森 


ポールを目印にして雪原を歩きます。 ポールの向こうの山が最高峰の「大岳」(1584m)です。
青森 


モンスターと呼ばれる樹氷は、このアオモリトドマツでできる。
青森 


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ねぶた展示館「ワ・ラッセ」見物
 青森駅前にできた新しいハコモノです。夏の「ねぶた祭り」に出た山車の一部を展示、歴史や作り方の説明があります。シーズンオフに青森を訪ねた人に山車を見てもらい、本番にもぜひお越しを、という狙いもあります。お囃子のライブもあって、一所懸命のサービスです。しかし、東日本大震災から2年目なので見物客は少ない。


展示は五基。デザインの優れたものを選んであるのですが、展示は一年きり、他のものは祭りの終了と同時に壊してしまいます。これが「ねぶた」の特色です。
 みんなすばらしい出来映え、それを間近に見られて満足です。しかし、ガイドさんへの最初の質問は「造るのに、なんぼかかります?」であります。「デザインにもよるけど、ざっと2000万円」「んぐぐ・・そんなに金かけて、終わったら即解体?」「そうです」ああもったいない!


気になっていた「電源」のことも尋ねる。一基あたり1000個~1500個の電球を使うので、蓄電池じゃもたない。だから軽油で駆動する発電機を積み込む。見本にあったのは出力40kwタイプで、家庭用エアコン室外機の四倍くらいの大きさがある。近年は省エネ電球(LED)が使えるようになったので、発電機の負担が小さくなった。


制作の主役は「ねぶた師」と呼ばれるデザイナー兼プロデューサー。実際の作業は市民が行う。であれば、親分ー子分の固い絆のもとで制作されると考えてしまうけど、そうでもないらしい。去年手伝ったねぶた師の、今年のデザインが気に入らないとヨソさんへ浮気する(してもかまわない)だから、優秀な作り手を集めるために「ねぶた師」は必死のパッチでデザインする。これが山車のレベルアップにもつながる、というわけです。

おしゃれなデザインの建物です。
わらっせ 

わらっせ 

わらっせ 

わらっせ 

わらっせ 

内部はこうなっています。材料は寸三角材と針金、紙は厚手の美濃紙。
わらっせ 

わらっせ


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なんでも300円のバー「F」
 昨夜は「りんご茶屋」の津軽民謡ライブで散財したので、今日はコンビニおにぎり一個とハムサンド、計340円の夕食です。この落差を気にしなくてよいのが一人旅の気楽なところです。
 とはいえ、まだ日も暮れず、な~んもすることないので、どっか、安い酒場ないかしらんと町へ出ます。10分も歩かないうちに見つかりました。「ハイボール300円」の張り紙がしてある、すてきにみすぼらしい店「F」。音楽記号にかけて、ふらっと立ち寄る、シャープなお店・・やて、ガハハ。


まだ明るいのに満員。ペコペコ頭下げて割り込ませてもらいました。店主と客がみんなお友達関係、というこんな店に自分みたいな一見客が割り込むと、一瞬、場がしらけます。しばらくはチーンとおとなしくしてるのがマナーです。


メニュー見て驚きましたね、酒もアテもぜ~んぶ300円。ビールはモルツです。この値段でようやるなあ。なんで、こんなに安いねん。

 赤ワインばかりカパカパ飲んでる、隣の同年配のじいさんに小声で尋ねました。「安いのはうれしいけど、近隣同業者とモメません?」「同業者は負けじといっせいにマネした。しかし、ぜんぶ潰れた」という答えでした。やっぱりなあ。大阪よりえげつない商売してます。この界隈には敗者の怨念が渦巻いてるのであります。

 

300円でウイスキー飲むと、ニッカ余市蒸留所での至福の経験がホーカイしそうな気がするので、カクテル「ダイキリ」続いて「雪国」を注文しました。しかし、唇をグラスに当てたとたん、わ、ナニコレ珍カクテル!であります。カキーンとした冷たさがない。雪国はみぞれになっている。 原因はたちまち推察できました。シェークに冷蔵庫の氷を使ってるのです。だから生ぬるいカクテルになってしまう。さらに、氷がすぐ溶けて酒が薄まってしまう。でも、文句は言えません。300円でまともなカクテルを作れというほうが厚かましい。


もう一杯、店主のオリジナルだという「TSUGARU」を注文。ジン、ライム、日本酒というヘンなレシピで、これも生ぬるでしたが、雪国よりマシでした。枝豆含めて1500円ナリの安さに感謝と不満の入り交じった複雑な気持ちでホテルへ戻りました。


家庭用冷蔵庫が置かれた店内。居抜きの物件を使ったのかも。
バーF  


生ぬるの「雪国」
バーF