糸井重里「思えば、孤独は美しい」を読む

 今や上場企業の社長さんになった糸井重里の本でありますが、この本って、随筆集とは言いがたく、コラムのようでもあるし・・、箴言集というにはソフト過ぎるような・・さりとて雑文集と呼べば失礼になりそうで、ま、そんな本であります。一見、ラフな作り方に見えるが、細かい気配りも多々。


そうか、前回の読書感想文で紹介した「読書をお金に換える技術」の著者、千田琢哉氏とは真逆のライフスタイルなのが糸井さん、これなら分かりやすい。さりながら、上場企業のオーナーが「思えば、孤独は美しい」やなんてヤワイ言葉発して委員会?と思う人多いでせう。これほどビジネスのイメージから離れてる社長さんは珍しい。


幸いなことに、只今はサクセスストーリーの主人公でありますが、本書を読んで想像するに、ご本人には経営者として成長願望は乏しく、逆に「人生のしまい方」を模索している。そんな印象をもちました。境遇は変わっても、表現者、アーティストのポジションが最優先だと思います。(2017年 ほぼ日発行)


以下、本書から選んだ短文、箴言?を少し紹介します。(順不同)

書名は本文ではこう書かれています。
思えば、孤独は美しい。孤独とじっと向き合った人だけが本人なのである。


dameo の一番のお気に入りがこの文章です。

ラジオ番組の司会者が
「孤独を感じることは?」と質問した。
とても軽やかに谷川俊太郎は答えた。
「孤独は前提でしょう」
夜を見ながら、風呂にでも入ろうか。


「良薬は口に苦し」と、
過剰な努力をすれば
なにかが拓けると思ってる人も多いけれど、
そういうものじゃない。
努力そのものの量に意味があるんじゃないもの。


ある時期、言葉は「斬る」ものだった。
またある時期、言葉は「届く」ものとされた。
なんとなくいまの時期、言葉は「刺さる」ものらしい。
ぼくは自分の言葉が読む人に「刺さる」のは
ちょっと嫌だなあ。


虚栄心というものが、ないわけじゃない。
いまでも、微妙なところで見栄を張りたい気持ちはある。
ただ、それが微妙すぎて、じぶんでも、もう、
見栄なんだかどうなんだかわからなくなっている。

 

余計なことながら、糸井氏のヨメさんが女優の樋口可南子さんとは知りませんでした。

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こんな店がほんとうにあるのだろうか(本書より)

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