図書館閉館で「本ひでり」

 コロナ禍で大阪市の図書館は先月25日から閉館していて再開は今月末の予定。民間の「まちライブラリーもりのみや」も休館です。一ヶ月以上休んでいるため自分のような貧乏読書人は借り入れができずに困っています。大事件ではないけど、こんなの生まれて初めての経験です。


 で、古本屋で仕入れることにして天神橋筋商店街へ。人出はいつもよりやや少ないけど、ひっそり感はない。そして、古本屋は常より客が多くて繁盛しています。やはり、自分みたいな「本ひでり」状態の人間が小銭もって町へ繰り出してるらしい。古本屋にしたらコロナは味方?・・いや、それは穿ちすぎでせう。


 4軒まわるつもりが時間食って2軒で終了。仕入れた本は・・・
白洲正子「いまなぜ青山二郎なのか」
由良弥生「原典・日本昔ばなし
・サムエル・ウルマン詩集「青春とは、心の若さである」
・杉江弘「機長が語るヒューマンエラーの真実」
有島武郎「生まれ出る悩み」(復刻本)
・木版字による「竹取物語

の6冊、投資額1150円ナリ。

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5冊目、6冊目は「往生しまっせえ~」覚悟で買った「100円均一本ワゴン」での掘り出しもの、帰宅してよく見たら本当に「往生しまっせえ~」本でした。
有島武郎本は大正7年発行の原書をリアルに復刻したものですが、なんと、製本も当時の技術を再現したみたいです。


 8ページを一枚の紙に印刷し、折り畳んで綴じて、という製本なので、読者が読むときはナイフで折り畳んだ紙をタテ・ヨコに切り裂く必要があります。
作品は191ページあるので24回「切り開き作業」が必要。めんどくさあ。題名は有名な「生れ出る悩み」ですが、読者は「読み出す前の悩み」を味わうことになります。こんなリアルな復刻本、はじめて出会いました。
 一度調べてみたいけど、明治の末~大正初めのころはこんな「西洋綴じ」本が普通だったのかも知れない。(それより以前は和綴じ本だったと思う)

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 「竹取物語」なにしろ有名な物語でありますから、いろんな編集、製本の作品があり、本書は「木製活字」版という珍しい?バージョンです。常識として、筆書きの本は原稿をそのまま木版にして刷る。ところが本書は一字、または一句をあらかた「活字」としてこしらえておき、注文が来たらそれを組み、手書きも加え、原版とする。このほうが少しは効率よく制作できる。そういう作り方をした「竹取物語」です。


 だったら楷書にしてほしかったなあ・・と令和の日本人は勝手なこと言います。半分くらい読めるのでは、という予想見事にはずれ、一行も読めないではありませんか。一ページでギブアップです。
こんな難儀な本、誰が読むねん、となにげに奥付をみると・・昭和35年発行、昭和56年16版発行、とある。なんのなんの、人気本でした。大学の国文科とかに籍を置いたら基礎教養として読まされるのかもしれません。
 200円の投資でエライ目に遭い・・いいへ、ええ勉強になりました。

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