2022-04-01から1ヶ月間の記事一覧

中島敦「李陵・山月記」を読む

何十年ぶりかで再読。若い人にはほぼ無視されてる作家ですが、短編ながら中身の濃さでは凡百の作家、足下にも及ばずであります。重厚長大でなく、重厚短小で印象深い作品です。「山月記」はながらく教科書にも使われたそうだから「そう、人が虎になってしま…

●JRの売り上げアップ策「老春81きっぷ」を提案

旅行が趣味という人は多いけど、自分でプランをつくり、乗物や宿の手配もする人は半分くらいでしょうか。安くて便利、だけの陳腐なパックツアーに満足しない人もたくさんおられるはずです。コロナ禍で交通、宿泊など観光ビジネスの売上げがガタ減りになった…

半藤一利「幕末史」を読む

著者が東京の某所の生涯学習講座みたいな講座でしゃべったことをまとめた本。話し言葉で書かれているので親しみやすいが、内容がラフというものではない。膨大な資料を渉猟して得たマジメな情報を500頁とヴォリュームたっぷりの本にまとめました。 歴史マ…

ネットで「遺産相続登記」をやってみた

法律改正・・相続手続きをさぼった人に罰金が課されます たいていの人は生涯に一、二度、相続問題に関わり、自ら手続きして相続手続きの何たるかを学びます。でも、手続きは面倒なので放置する人が多い。この実情に鑑み、法律が改正されました。2024年か…

BRUTUS編「すべては、本から。」を読む

めったに立ち寄らない雑紙売り場で目にとまったのがこの本。購入するのはン十年ぶり・・であります。いまどきの若者、中年はどんな本を読んでいるのかという傾向と売れ筋を知りたくて買いました。文字の小さいのが気に入らないがムリしてページを繰る。カッ…

小山和伸「これでも公共放送かNHK!」を読む

受信者から強制的に受信料を徴収して経営しているのに、デタラメな番組をつくって国民を欺いてるのがNHK。その内実を糾弾する本です。・・と書いてもネタが古いし、視聴者のほとんどには「何のこっちゃねん?」な、ウケない話題であります。 NHKのすべ…

石原慎太郎「太陽の季節」と選評を読む

著者の絶筆「死への道程」は文芸春秋四月号に掲載され、3月13日、当ブログで紹介しました。幸いにも同号では石原氏の芥川賞受賞作「太陽の季節」とその選評全文も掲載されたのでトクした気分で読みました。芥川賞作品を読む楽しみの三分の一くらいは「選…

惨憺・・ウクライナと同じような光景(1945・大阪市)

連日、ニュースで報じられるウクライナの戦場シーンを見て幼時の記憶が蘇る。戦争で米軍にボコボコにされた大阪の廃墟風景であります。ウクライナの廃墟風景は、ミサイル、ロケット弾、砲撃によるものだが、東京や大阪など都市は空襲によって廃墟にされた。…

野呂邦暢の作品を読む

■諫早菖蒲日記 ■夕暮れの緑の光 作家にも、地味タイプと派手タイプがあるとすれば、この人はジミ派の代表。作品がトップセラーになったとか、映画化されたといった世俗的話題には上らないまま、1980年、42才で急逝。しかし、そのジミな作品を愛するフ…

きたみりゅうじ「フリーランス はじめてみましたが・・」

人は生涯に何度「退職願い」を書くのだろう。そんなデータはないと思うけど、勝手に想像すれば2~3回ではないだろうか。現在の若者は5回以上が普通になるかもしれない。dameo の場合は4回退職して自営業になったけど、4回目は社長が夜逃げしたので「退…

浦久俊彦 「悪魔と呼ばれたヴァイオリニスト」             ~パガニーニ伝~

読みたいと思っていたパガニーニの伝記にようやく出会った。18~19世紀にヨーロッパで大活躍したニコロ・パガニーニの天才ぶりと波乱に満ちた生涯をコンパクトにまとめた本で、興味津々だからすいすい読めました。 異様な風貌と黒づくめの衣装の印象など…

清水正「つげ義春を読む」を読む

大人になってから漫画本とは縁が切れてしまった。例外的に愛読したのは東海林さだおのサラリーマンものの週刊誌漫画くらい。ところが、1990年ごろにたまたま図書館の漫画コーナーで「つげ義春全集」と出会い、ぞっこん惚れて何十編もの作品をまとめ読み…

糸井重里「すいません、ほぼ日の経営。」を読む

もう五回くらい書いたかも知れないが、一般人の理想の人生とは・ 好きなコトをして・それでメシが食え・しかも世間で喜ばれるという職業人生であります。 そんな理想に近い人生を送っている、と思える人物の一人が糸井重里氏であります。ハタから見るかぎり…

司馬遼太郎「新撰組血風録 芹沢鴨の暗殺」を読む

なんでこの短編を読もうとしたか。コロナ禍のまえにたまたま京都・島原の「角屋」を見学したからであります。入館料1000円という高額ゆえか訪問者は少なくて、駄目男が訪ねたときも客は自分だけ。角屋の御当主?と思われる方が角屋の歴史由来を説明して…

池井戸 潤「果つる底なき」を読む

珍しくミステリーを読みました。いま、作家の稼ぎ頭?池井戸潤氏の24年前の作品で「第44回江戸川乱歩賞」受賞作です。読んでしみじみ感じたのは頭の老化で登場人物の名前や役割を覚えられずに困ったことです。それに400頁を越えるような長編を読むの…

加治将一「舞い降りた天皇」を読む

~初代天皇「X」はどこから来たのか~ 近年読んだ歴史モノでは出色の面白い本だった。小説(ミステリー)仕立てで書いてあって、古代から飛鳥・奈良時代あたりまでの歴史を鳥瞰するような、ワイドで中身も濃い情報が詰まっている。この一作で古代史のおさら…