2022-03-01から1ヶ月間の記事一覧

1959年・絵本に描かれた「宇宙ロケット」

絵本「こどものせかい」の出版社から「宇宙旅行の絵を描いて下さい」と注文された画家はどれくらい困惑したか。もし、自分が画家であれば「まいど、おおきに」と二つ返事で引き受けただろうか。今から64年前、昭和33年のことである。 たった8頁のこの絵…

立花隆「ぼくはこんな本を読んできた」を読む

小説、ノンフィクションを問わず、モノを書くときはモーレツに資料を集める作家とは? 西は司馬遼太郎、東はこの立花隆と佐藤優センセでせう。稼いだ金の大半を資料の収集に費やしてしまう。それでも普通は自宅に本棚をぎっしり並べるというのが普通のところ…

新聞チラシの人材募集 ど~んと<天才手当 月100万円>

昨日の新聞折り込みチラシにこんな広告がありました。A2サイズの上質紙の裏表全部が募集説明で商品広告一切ナシ。自分に関係ないことだけど、チラシを隅々までしっかり読むなんて年に一度もない。「天才募集」と「新聞チラシ」のミスマッチ?ぶりが面白く…

田辺聖子「あかん男」を読む

作・田辺聖子、解説・酒井順子、とあらば読まずにおれない・・本であります。書名からわかるように大阪弁でかかれています。短編七編のうち、dameo お勧めの二編を紹介。1975年の発行ですが古くささを感じさせない。 へらへら ある日、目ざめると隣で寝てい…

平凡社編集「作家の酒」を読む

こんな本を企画すること自体が「酔狂」のなせるワザとしか思えないけど、読むよりは作家諸氏の酔態を楽しむ本です。女性有名作家にも大酒飲みがいると思うのに登場しないのは酔態を読者に知られたくないゆえか。 作品を一作しか読まなくても、このオッサン、…

時実新子・玉岡かおる「モノ書く女への道」を読む

dameo の友人、A子さんが時実新子のお弟子さんだった、という、ささいなご縁で読んだ本。玉岡かおるの作品は「お家さん」を読んだだけです。この育ちや個性のちがいがハッキリしている二人がン十時間?対談して文学論や人生論をぶつけ合った。あるページで…

陳舜臣「唐代伝奇」を読む

千年以上の昔、中国は唐時代に著された物語を十七編集めたもの。その中で日本にも伝わり、現在でも良く知られているのは「沈中記」「郭翰と織女(牽牛と織女)」「杜子春」の三つです。これらのうち二つを紹介します。 「沈中記」=「邯鄲」 「沈中記」は日…

石ころが石仏に変身・・Oさんの石ころアート作品

友人Oさんは握り拳くらいの石を拾って犬や猫の顔の絵を書くのが趣味だったが、あるとき、石そのものが魅力的なカタチをしていることに気がつき、「お気に入り」の石ころも集めるようになった。川は自宅近所のなんということもない川で、気が向いたら自転車で…

日本一醜い親への手紙 そんな親なら捨てちゃえば?

最近読んだ本の中では深刻度一番。虐待された子どもが親への恨み辛みを綴った手紙百人分を掲載している。書名の後半「そんな親なら捨てちゃえば?」の語は本書を企画した人の言葉(主張)である。加害者である親と義理人情で和解するより「捨てちゃえ」と言…

BS報道番組で学ぶ<ウクライナ問題>

連日、トップニュースはウクライナ問題でありますが、私たちは大かたニュース映像情報のみで事態を理解したつもりになっている。専門家と称する人が解説をしても出番はせいぜい1~2分しかない。なので、この戦争の背景となる当事者国家の歴史や地政学なんか…

森岡浩「名字でわかる日本人の履歴書」を読む

NHK「日本人のお名前」の常連ゲスト、森岡センセの著書。この本は、従来のように家系(系譜)をさかのぼる時間軸の研究ではなく、地理的分布を主にした調査の成果なので、地理好きには楽しく読めます。田中さんや佐藤さんといった名前がなぜメジャーなの…

短編名作を読む  武者小路実篤「お目出たき人」 志賀直哉「城の崎にて」「小僧の神様」

古本屋の「よりどり一冊100円」のワゴンで探した本。計2冊、200円の投資にしてはずいぶんトクした感のある名作です。旧人類にとっては、今どきの芥川賞作品なんかより十倍はネウチがあります。以下、名作三編をご紹介。 ■武者小路実篤「お目出たき人」…

石原慎太郎 絶筆「死への道程」を読む

本文を記したのは令和三年十月十九日。その約三ヶ月後に亡くなった。 著述の半年前、千葉の重粒子センターで膵臓癌細胞を焼き尽くしたはずだったが再発していた。そこで担当医師に自分の余命はどれくらいか尋ねたところ「まあ、三ヶ月くらいでしょうかね」と…

岡野雄一「ペコロスの母に会いに行く」を読む  

著者の認知症の母親をネタにした「介護マンガ」。長崎で自費出版した500冊がスタートで、後に西日本新聞社の目にとまり、地域でベストセラーになった。さらに映画化も決定、有名人になりました。 介護マンガと書いたけど、母親は施設入居者なので、家族がつ…

二丁目人生

今週のお題「引っ越し」 引っ越し経験は3回です。すべて大阪市内で、まず、生まれたのが天王寺区大道2丁目。最初の引っ越し先が阿倍野区播磨町2丁目。2回目が港区築港2丁目、3回目が住吉区苅田2丁目。偶然で「生涯2丁目暮らし」になりました。 まも…

一関開治著「記憶が消えていく」                  ~アルツハイマー病患者が自ら語る~ を読む 

自分はアルツハイマー病なんかにならないと自信をもって言える人は一人もいないはず。なる、ならないは、ほとんど運の良し悪しで決まるといってもいいくらい、予測しがたい。ならば、怖がるだけより、実態を知って予備知識とし、自分自身、また身内や友人が…

きんぺい&ぷーちん 侵攻の野望と教訓 ~dameo~

まだ作戦の途上でありますが、ぷーちんのウクライナ侵攻は「失敗」であること間違いないでせう。ロシア政府の権威失墜、経済の破綻、国民の反政府感情の高まりなど、内外問わずマイナス評価ばかり。ぷーちんは21世紀を代表する悪人政治家のレッテルを貼ら…

遠藤周作「ルーアンの丘」を読む  

ルーアンはフランスの都市の名前。本書の略図で見るとパリの北西、セーヌ川の下流にあたる。著者が戦後初の仏蘭西留学生として訪れ、三ヶ月ほど滞在したところだった。かのジャンヌ・ダルクはここで短い生涯を終えた。 27歳の遠藤センセが書いたのだからロ…

日曜夜の<Eテレ>はお宝番組揃い・・・

もちろん、自分の好みというだけですが、これほど長時間(4時間)見続ける番組は他にありません。午後8時から「日曜美術館」9時から「クラシック音楽館」11時から「美の壺」11時30分から「サイエンスZERO」と続きます。この4番組のファン、全国で1…

中之島美術館 初訪問

お知らせ・・・ 今夜(6日)8時からの教育テレビ「日曜美術館」で中之島美術館が詳しく紹介されます。ぜひご覧下さい。 2月2日に開館したときはコロナ・オミクロン株が感染拡大中というタイミングの悪さ、出鼻をくじかれた感じでした。そういうリスクに…

太田尚樹「尾崎秀実とゾルゲ事件」を読む

ロシアがウクライナに攻め込んでプーチンの評価はガタ落ち、ロシア国内でも反戦デモが起きている。この本は今から80年前に起きた日本とソ連間のスパイ活動に関するドキュメントですが、もし、中学、高校の教科書に載っていないのなら60歳以下の人はほと…

内館牧子「毒唇主義」を読む

先月紹介の「すぐ死ぬんだから」に続いて読んだ内舘作品。これは週刊誌や会報などに書いたエッセイ、コラムをまとめたもの。著者、編集者にとって一番楽ちんな本作りかもしれません。そのせいか?表紙裏の著者紹介文で三菱重工を「三菱重厚」と誤植している…

 宮崎市定「隋の煬帝」を読む

著者名を見て、堅苦しい中国史の話なのではと想像したけど、読んでみれば平易な内容だったのでホッ、であります。解説によれば、著者が本書を書いたのは京都大学を定年退官したあとで、教授の肩書きがとれたから気楽に書いたのではということでした。 隋の煬…